8月2日、ASIC(オーストラリア証券投資委員会)にとって画期的なケースとして、連邦裁判所はMercer Superannuation Australia Limited に1,130万ドルの罰金を科した。本判決は、マーサーが一部のスーパーファンド投資オプションのサステナビリティに関して誤解を招く表現を行ったと認めたことに基づいている。
ASICのサラ・コート副委員長は、「これはASICが連邦裁判所に提訴した初のグリーンウォッシング事件であり、ASICにとっても金融サービス業界にとっても画期的な事件である。このケースは、投資家や潜在的な投資家に対して、正確なESGに関する主張を行うことの重要性を示している。」と述べた。
裁判所は、マーサーが受託者であるマーサースーパートラストが提供する7つの「サステナブル・プラス」投資オプションについて、ウェブサイト上で誤解を招く記述を行ったと認定した。これらの記述では、サステナブル・プラス・オプションが、一般炭のような炭素集約型化石燃料を扱う企業への投資を除外しているため、「持続可能性に深くコミットしている」会員に適しているとされていた。また、アルコール製造やギャンブルに関わる企業への投資も除外されているとされていた。
しかし、裁判所は、サステナブル・プラス・オプションを選択した会員が、以下のような業種に関わる企業に投資していたことを明らかにした。
- 炭素集約型化石燃料の採掘または販売に関わる15社:(AGL Energy、BHP Group、Glencore PLC、Whitehaven Coalなど)。
- アルコール製造に関わる15社:(Budweiser Brewing Company APAC Ltd、Carlsberg AS、Heineken Holding NV、Treasury Wine Estates Ltdなど)。
- ギャンブル関連企業19社:(Aristocrat Leisure Limited、Caesar’s Entertainment Inc、Crown Resorts Limited、Tabcorp Holdings Limitedなど)。
コート副委員長はさらに、「本日の件は、金融サービス業界に対して、我々がグリーンウォッシュに対する措置を厳しく取ることを強く示すものである。我々は、市場が公正かつ透明であることを保証するために、証拠によって検証できないESG関連の主張について市場を監視し続ける」と付け加えた。
ホラン判事は、マーサーの違反は深刻であり、それらの違反は、マーサーがESGの主張に関して正確さを保証するための適切なシステムを導入せず、またそのサステナビリティの除外基準の適用を監視し、実施しなかったことに起因すると指摘した。さらに、「金融サービス業界の消費者が、金融商品やサービスのプロバイダーによるESGの主張を信頼できるようにすることは極めて重要である」とも述べ、虚偽表示が消費者と業界にとって深刻な影響を与えることを強調した。
マーサースーパーは、ASICの法的費用を支払うことにも同意している。
【参照ページ】
(原文)ASIC’s first greenwashing case results in landmark $11.3 million penalty for Mercer
(日本語参考訳)ASIC初のグリーンウォッシング事件、マーサーに画期的な1,130万ドルの罰金を科す