ダイムラートラック、燃料電池トラックの初期顧客試験運用を開始

7月25日、世界最大級の商用車メーカーであるダイムラートラックは、自社の顧客であるAir Products・Amazon・Holcim・ INEOS・Wiedmann & Winzを対象として、液体水素を燃料として用いる燃料電池トラックであるMercedes-Benz GenH2 Trucksの初期顧客試験を開始したと発表した。

同社は2039年までに主要市場(EU・米国・日本)において、走行中のCO2排出量がゼロの新車のみを提供することを目指している。そのため、水素ベースの駆動技術は特に柔軟で高負荷の長距離輸送に最適なソリューションとなる。

今回の試験では5台のGenH2トラックの試作機を各社に引き渡し、試験運行を行うというものだ。これにより、顧客は燃料電池トラックを使用した長距離輸送の実務経験を得ることができ、ダイムラートラックはその実運用に関する知見を得ることができる。

これらのトラックは、建設資材や海上コンテナ、ボンベガスの輸送など、特定のルートでの長距離輸送に使用される予定である。試験運行中、これらのトラックはダイムラートラックの管理下に置かれ、ドイツ内の指定された液体水素ステーションで補給されることとなる。

今回使用されるGenH2 Truckは、従来の長距離トラックと同等の性能を持ち、40トンの総重量で約25トンの積載量を提供できる。ダイムラートラックとボルボグループの合弁会社であるcellcentricが製造する強力な燃料電池システムと液体水素タンクによって、この高積載量と長距離走行が可能となっている。「また、液体水素はエネルギー密度が高いため、1回の充填で1,000キロメートル以上の走行が可能で、従来のディーゼルトラックと同等の性能を提供する。さらに、コストや重量の面でも液体水素は気体水素に比べて有利であり、積載量を増やすことができる。そのため同社は、液体水素燃料は長距離輸送に適しているとし、液体水素技術の開発を重要視しているという。

2023年9月、GenH2 Truckは公道走行の承認を受け、1回の液体水素充填で1,047キロメートルを走行する#HydrogenRecordRunを達成した。このことにより、液体水素が長距離輸送において非常に効果的であることが証明されていた。

【参照ページ】
(原文)Fuel cell trucks deployed in real-life operations: start of initial customer trials with Mercedes-Benz GenH2 Trucks
(日本語参考訳)燃料電池トラックが実運用に導入:メルセデス・ベンツ GenH2 トラックによる初期顧客トライアル開始

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る