クレディ・アグリコル、気候変動戦略を強化・加速

クレディ・アグリコル、気候変動戦略を強化・加速

12月14日、フランスの金融大手、クレディ・アグリコルは、気候変動戦略の強化と加速を目指す一環として、様々な施策を発表した。その中には、すべての化石燃料採掘へのプロジェクトファイナンスの禁止も含まれている。

まず、エネルギーセクターにおいて、国際エネルギー機関(IEA)の「ネット・ゼロ2050」シナリオの2倍の速さで石油・ガスセクターに関連するファイナンスド・エミッションを2030年までに2020年比で75%削減する方針が打ち出された。新たな化石燃料採掘プロジェクトへのプロジェクトファイナンスは全面禁止となり、独立系生産者への法人ファイナンスも制限される。

逆に再生可能エネルギーへの年間ファイナンス額は2030年までに3倍に増加し、低炭素エネルギーへの投資を増やす計画である。また、再生可能エネルギー、省エネ、クリーンテクノロジーへの投融資キャパシティを1,000億ユーロ(約15兆円)に拡充する方針も明らかにされた。

5つの新しいセクターにおいても方針を新設。「リテール不動産」「農業」「航空」「海運」「鉄鋼」の各セクターにおいて、具体的な方針が設定され、持続可能性への取り組みが強化される。これにより、10セクター全体での方針が策定された。

最後に、ガバナンスの強化も一環して行われ、新たに「社会的コミットメント委員会」や「ESG戦略委員会」の設置が発表された。これにより、気候変動に対する方針の進捗状況が四半期ごとにモニタリングされる。

なお、クレディ・アグリコルは全社員向けに気候変動に関する研修を行っており、CXOクラスの報酬にはサステナビリティ・パフォーマンス基準が組み込まれている。

【参照ページ】
(原文)CRÉDIT AGRICOLE ACCELERATES ITS CLIMATE COMMITMENTS
(日本語参考訳)クレディ・アグリコル、気候変動への取り組みを加速

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る