EU、CBAMの実効性を強化 下流製品拡大と抜け穴対策を提案(欧州委員会)

12月17日、欧州委員会は、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)の抜け穴を防止し、実効性を高めるための新たな措置を提案した。産業界からの意見を踏まえ、2028年1月1日からCBAMの対象を鉄鋼・アルミニウム集約型の下流製品へ拡大するほか、回避行為への対策を強化することが目的。

現在CBAMは、鉄鋼、アルミニウム、セメント、電力などの基礎素材が対象。提案では、2028年以降に機械や産業用設備、家電など約180品目の鉄鋼・アルミニウム集約型製品も対象に含めたいとしている。なお、対象品目の94%は産業用サプライチェーン向けで、平均79%が鉄鋼・アルミニウム成分で構成されている。

また、排出量算定において、アルミニウムおよび鉄鋼のプレコンシューマー材料を新たに考慮し、EU域内製品と輸入品の公平な炭素価格付けを確保する。報告義務の強化や虚偽申告への対応権限も拡充される。

さらに、EU生産者を炭素リーケージから一時的に保護する「脱炭素基金」を創設し、EU排出量取引制度(ETS)の炭素コストの一部を、脱炭素努力を条件に補填する。資金は2026~2027年のCBAM証書収入の25%を加盟国が拠出し、残り75%はEU独自財源とする想定。

同日公表されたCBAMレビュー報告書は、CBAMがEU域外での脱炭素化促進に寄与していると評価している。

(原文)Commission strengthens the Carbon Border Adjustment Mechanism
(日本語参考訳)欧州委員会、炭素国境調整メカニズムを強化

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