世界銀行、カーボンプライシング制度の現状を報告

5月21日、世界銀行は世界のカーボンプライシング制度の現状と動向を分析した報告書の2024年版を発表した。報告書のポイントは以下のとおり。

・2023年のカーボンプライシング制度による収益は1,040億米ドルで過去最高
・世界で75のカーボンプライシング制度が運用
・排出量取引制度(ETS)によるカーボンプライシング制度は、世界の温室効果ガス排出量の約24%をカバー
・ブラジル、インド、チリ、コロンビア、トルコなどの中所得国で導入
・航空、海運、廃棄物などの他のセクターでも導入検討が進んでいる

目標の達成に向けた課題として、単価の低さが指摘された。現在、1.5度目標に整合した単価となっているカーボンプライシング制度は、世界の温室効果ガス排出量の1%以下しかカバーしていない。各国の気候変動に関する公約と政策のギャップを埋めるためには、政治的なコミットメントが不可欠であると報告書は強調している。

世界銀行の報告書は、カーボンプライシング制度の重要性とその収益の有効活用について詳細に示している。カーボンプライシング制度の拡大と適正な単価設定が、地球温暖化対策の鍵となることが改めて明確にされた。特に、中所得国や新興セクターでの導入が進む中、1.5度目標達成のためのさらなる取り組みと政治的な意志が求められている。

【参照ページ】
(原文)Global Carbon Pricing Revenues Top a Record $100 Billion
(日本語参考訳)世界のカーボンプライシングの売上高が過去最高の1000億ドルを突破

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. GRI労働関連基準の改訂状況と人的資本開示との対応関係を解説

    2025-7-7

    GRI労働関連基準の改訂状況と人的資本開示との対応関係を解説

    GRI(Global Reporting Initiative:グローバル・レポーティング・イニシ…
  2. 2025-7-7

    ノルウェー政府、2035年に温室効果ガス70〜75%削減目標を提出

    6月26日、ノルウェー政府は、パリ協定の下で2035年に向けた新たな国が決定する貢献(NDC)を国…
  3. 2025-7-7

    ネスレのカカオ農家支援、所得向上に成果―悪天候下でも収量増、対象5万世帯へ拡大

    6月25日、食品大手ネスレは、西アフリカで展開するカカオ農家の所得向上支援プログラムが、参加世帯の…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る