CEO半数以上がサステナビリティの優先順位が高いと回答(EY調査)

5月7日、EYの調査によるとサステナビリティと気候変動に関する課題は、グローバルの経営層の間で再び注目を集めつつあり、CEOの半数以上が1年前よりも脱炭素やサステナビリティは長期的な戦略的最優先事項であると答えている。

この調査は、21 か国の 5 つの業界の大企業のCEO 1,200 名と、21 か国の機関投資家 300 名を対象に行われた。具体的な調査結果として、CEOの54%が、取締役会でもサステナビリティの話題が重視され優先度が高くなっている一方で、23%が、主に経済的な理由から、自社でのサステナビリティの優先順位が下がったと回答した。

地域別では、アメリカの回答者が最も高く62%、次いでヨーロッパが49%である一方、アジア太平洋地域では25%減少している。

調査によれば、43%のCEOが、中長期的な戦略的優先事項として脱炭素をあげた。一方で、実際にネットゼロの実績を上げた企業は16%にとどまった。また、成長と生産性向上のためのテクノロジーとAIへの投資を優先したのは47%だった。

ただし、調査では、サステナビリティは引き続き投資の最優先事項である一方で、インフレや地政学的に不安定な環境において、短期的な収益目標を達成するために、一時的に予算削減が発生する可能性が最も高い分野でもあることが明らかになった。

機関投資家の回答では、サステナビリティは優先順位が高いと回答したのはわずか 28%であり、35%は優先順位が低いと回答。同様に、CEOの73%が、アクティビスト投資家は長期的な持続可能性指標に対する業績よりも短期的な財務結果を重視していると認識している。

CEOと投資家の間で一致している部分として、CEOの73%と投資家の67%は、企業がグリーンウォッシュで非難されることへの懸念が強くなりすぎて「グリーンハッシング」につながっている点だ。また、CEOの74%と投資家の67%は、企業のバランスシートが座礁資産によるリスクがあるともしている。 さらに、CEO (75%) と投資家 (70%) の両者は、テクノロジーと AI が自社が直面しているサステナビリティ課題の解決につながると考えている。

【参照ページ】
(原文)How CEOs juggle transformation priorities – the art of taking back control

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. 2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. 2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-6-18

    消費者庁、食品ロス削減に関する報告書を公表

    5月31日、「物価高対策に資する食品ロス削減実証業務報告書」を公表した。同報告書は、2023年10…
  2. 2024-6-17

    花王、使用済み化粧品ボトルの水平リサイクルの容器による商品化

    5月28日、花王は、”使用済み化粧品プラスチックボトルからなるケミカルリサイクルPET(ポリエチレ…
  3. 2024-6-17

    GRI、企業の透明性と人権向上のため基準の見直しを開始

    6月10日、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)は、労働関連の全基準の包括的な見直…
ページ上部へ戻る