3月25日、英国の飲料大手企業であるディアジオの北米法人は、米国ケンタッキー州シェルビービルとイリノイ州プレーンフィールドにある生産拠点の電化に向けて重要な一歩を踏み出した。同社は米国エネルギー省(DOE)のクリーンエネルギー実証局(OCED)の産業実証プログラム(IDP)からの7,500万米ドル(約116億円)の資金を獲得するための交渉を開始すると発表した。
ディアジオは、この取り組みにおいて、米国のヒート・バッテリー開発スタートアップであるRondo Energyと協力している。彼らは、生産拠点にRondo Energyのヒート・バッテリーを導入する計画であり、この技術によって再生可能エネルギー電力を利用し、最大1,500℃でレンガを加熱することが可能となる。また、このヒート・バッテリー技術は、熱エネルギーを効率的に貯蔵し、98%の熱変換効率と1日に1%未満の熱の損失率を実現する。これにより、数時間から数日間にわたってエネルギーを保持することが可能となる。
飲料業界では、蒸留、瓶詰め、洗浄、低温殺菌、空調制御システム(HVAC)などに大量の熱エネルギーが必要とされており、通常は天然ガスに依存している。しかし、ディアジオの今回の取り組みにより、これらの生産プロセスにおける熱エネルギーの利用が再考されることとなる。ディアジオは、ケンタッキー州とイリノイ州の生産拠点でヒート・バッテリーを導入し、技術経済分析やライフサイクル分析を実施し、二酸化炭素削減量を検証する予定である。