6月19日、オーストラリア政府は「Sustainable Finance Roadmap」(持続可能な金融市場のロードマップ)を発表した。
これは、オーストラリア政府がクリーンエネルギー経済への移行を支援し、持続可能な金融市場を構築するために策定した戦略を示している。文書は、主に気候と持続可能性に関する透明性の向上、金融システムの能力強化、政府のリーダーシップと国際的な関与の3つの柱から成り立っている。
最初の柱は、気候と持続可能性に関する透明性の向上だ。この中で、気候関連の財務リスクと機会に関する開示を大企業と金融機関に義務付ける法律を2025年1月から施行する計画がある。また、持続可能な金融タクソノミーの開発が進められ、2024年末までに初期タクソノミーを完成させる計画だ。企業のネットゼロ移行計画の開示を義務化し、移行計画のベストプラクティスガイダンスを提供することも目指している。さらに、持続可能な投資商品に関する一貫したラベルと開示要件の確立も進められる。
次に、金融システムの能力強化が二つ目の柱だ。ここでは、金融市場の監督を強化し、持続可能な金融商品の信頼性を高めるための施策が含まれている。システミックな金融リスクを特定し、適切な対策を講じることも重要な目標とされている。データのアクセス性、比較可能性、信頼性を向上させるための取り組みを強化し、持続可能な金融のための規制フレームワークを整備することも含まれた。
最後の柱は、オーストラリア政府のリーダーシップと国際的な関与である。政府はグリーンボンドを発行し、持続可能なプロジェクトへの資金提供を促進する計画だ。さらに、国際的な持続可能な金融の議論に積極的に参加し、リーダーシップを発揮することも重要な戦略とされている。
このロードマップでは、具体的なタイムラインも示された。2024年末までに持続可能な金融タクソノミーの初期バージョンが完成し、2025年1月からは気候関連の財務開示義務が開始される。また、2027年までに持続可能な投資商品のラベル付け制度を導入する計画だ。
このロードマップは、オーストラリアの経済を持続可能な方向に導き、投資家や企業が気候関連のリスクと機会を管理するための信頼性のある情報にアクセスできるようにすることを目指している。
【参照ページ】
(原文)Sustainable Finance Roadmap
(日本語参考訳)持続可能な金融市場のロードマップ