5月15日、ブルームバーグ・ロー(Bloomberg Law)は、米証券取引委員会(SEC)の気候変動に関連した新しい情報開示規則は、現在のままでは法的な争いに勝ち残れないと予想する弁護士が大多数を占め、ほとんどの弁護士が、この規則は部分的にしか維持されないか、完全に覆されると予想したとする調査を発表した。
ブルームバーグ・ローの「実務の現状」調査は、法律事務所136名と企業内75名を含む211名の弁護士からの回答を集計したものである。
米国証券取引委員会(SEC)は3月上旬、新ルールの公表と採択を発表。米国の上場企業に対し、事業が直面する気候変動リスク、そのリスクへの対応計画、悪天候が財務に与える影響、場合によっては事業活動から排出される温室効果ガスに関する情報開示を求める要件を定めたものである。
しかし、新規制は、規則見直しの保留を求める申し立ては裁判所に認められたことで、アイオワ州のブレンナ・バード州知事を筆頭とする共和党の25州知事が提出した規則反対の訴訟が行われている。また、米国商工会議所が主導した規則の停止を求める別の控訴裁判所の申し立てなどもある。
これは、要求事項が企業にとってあまりにも負担で膨大であり、GHG排出量データを含む要求される情報が信頼性に欠けるか過度に推測に基づいたものであるため、反対されている。
これを受けて、SECは4月、法廷での再審理を待つため、新規制の施行を一時停止すると発表した。
ブルームバーグの新たな調査では、法的措置が講じられた後もルールが完全に維持されると回答した弁護士はごく一部で、半数以上が部分的にしか維持されないと予想し、法律事務所の回答者の29%以上、企業内の回答者の25%以上が完全に覆される可能性が高いと回答している。
業務分野別では、ルールが部分的に存続すると予想した弁護士の割合は、証券・資本市場とESG専門が70%以上と最も多く、労働・雇用と訴訟専門はそれぞれ49%と53%と最も少なかった。
アンケート回答者は、SECの気候変動規制の中で、最も大きな法的課題に直面すると予想される分野についても強調しており、GHG排出量に関する情報開示が最も大きなハードルとして予想しており、その割合は37%、次いで気候変動関連の目標が36%となっている。その他の主だったハードルとして は、財務諸表における特定の情報の開示要求(23%)、リスク軽減戦略の開示(22%)、 ガバナンスの開示(20%)などが挙げられた。
【参照ページ】
(原文)ANALYSIS: Attorneys Say SEC Climate Rule Won’t Remain Intact
(日本語参考訳)分析:SEC気候変動規制は維持されないと弁護士ら