ネスレ、カカオのサプライチェーン排出量削減に向け新プロジェクト開始

3月21日、世界的な食品・飲料企業であるネスレは、同社のココアサプライチェーンから排出されるCO2の削減と除去を目的とした2つの新しいプロジェクトを開始した。

サプライヤーであるカーギルおよびETG|ビヨンド・ビーンズと共同で開発された本5年間のプロジェクトは、アグロフォレストリー(森林伐採)を推進し、再生可能農業への移行を加速させ、カカオ農家コミュニティ周辺の荒廃した土地の再植林を支援する。

キットカットやネスクイックなどの大手チョコレートブランドを擁するネスレは、世界最大のカカオ消費企業のひとつで、年間およそ43万トンのカカオを調達しており、その多くはガーナとコートジボワールから供給されている。ネスレは2019年に、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量ネット・ゼロを達成するというコミットメントを発表し、2020年には気候変動目標を達成するための「期限付き計画」を発表した。

同社のネット・ゼロ・ロードマップによると、ネスレのGHG排出量に占める原料調達の割合は70%を超え、原料排出量全体の約25%~35%が自然景観の転換によるもの。ネスレの農業排出に対処する計画には、森林破壊の回避と排除、自然生息地の保全、アグロフォレストリーや森林再生を支援するための数億本の植樹が含まれる。

ネスレによると、本プロジェクトは、ガーナとコートジボワールの2万人近い農家が管理する土地に200万本以上のシェードツリーを植えることを目的としており、20年間で50万トン以上の炭素除去・削減が見込まれている。

本プログラムでは、さまざまな多目的樹種のシェードツリーが農家に配布され、農家は植樹と剪定を学ぶ。農家は、苗木を植え、重要な最初の数年間は世話をする際に奨励金を受け取る。また、定期的に農場を訪問して監視し、必要に応じて助言や技術支援を提供する。

ネスレは、地域コミュニティとの協力もプログラムの重要な側面であるとし、森林再生作業のためにコミュニティ所有の休耕地を選定したり、木の苗床を設置することから始めるなど、関与していくと付け加えた。

【参照ページ】
(原文)Nestlé collaborates with suppliers to help address climate change impact in cocoa
(日本語参考訳)ネスレ、カカオのサプライチェーン排出量削減に向け新プロジェクト開始

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