クリネックス製造大手、英で業界初のグリーン水素契約 天然ガス半減へ

7月23日、トイレットペーパー「Andrex」やティッシュ「クリネックス」で知られる米日用品大手キンバリークラークは23日、英国の消費財業界で初となるグリーン水素の長期供給契約を締結したと発表した。エネルギー企業と共同で1億2500万ポンド(約270億円)以上を投じ、英国内の2工場にグリーン水素製造施設を建設。2027年から天然ガスの使用量を半減させ、製造工程の大幅な脱炭素化を目指す。

この計画は、同社のケント州とカンブリア州にある主要2工場が対象。両工場では「Andrex」トイレットロールを年間10億本近く、「クリネックス」ティッシュを1億5000万箱以上生産している。エネルギーパートナーであるカールトン・パワー社およびHYRO社(オクトパス・エナジー・ジェネレーションとRES社の合弁会社)と契約し、各工場の敷地内に専用のグリーン水素製造施設を建設する。

グリーン水素は、風力や太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して製造され、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギー。同社は、製品の乾燥工程などで使用する蒸気発生用の天然ガスをこのグリーン水素に置き換える。

これにより、年間2万8500トンのCO2排出量を削減できる見込みで、これはガソリン車約2万台分の年間排出量に相当するという。この計画は英国政府の水素戦略の一環として資金援助を受けており、産業界の脱炭素化を後押しするモデルケースとして注目される。

キンバリークラーク英国・アイルランド法人のダン・ハウエル社長は、「これはグリーン水素ソリューションへの大きな投資であり、エネルギー集約型産業が率先してグリーン水素を大規模に採用できることを示すものだ」と述べ、2030年までに英国内の製造拠点で100%再生可能エネルギーへの移行を目指す同社の目標達成に向けた大きな一歩だと強調した。

同社は2030年までに世界の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1・2)を2015年比で50%削減する目標を掲げており、今回の取り組みはその達成に大きく貢献するものとなる。

(原文)Industry-First Green Hydrogen Deals Signed by Andrex® and Kleenex® Producer, Kimberly-Clark

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