EU委員長、持続可能な植物保護剤規則案の撤回を提案

2月6日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EU議会での演説において、持続可能な植物保護剤(PPP)の使用に関する規則案の撤回を意向したことを表明した。本規則案は、EUの食料・農業政策「Farm to Fork戦略」の一部として2022年6月に提案され、2030年までに化学合成農薬の使用とリスクを50%削減することを目指していた。

しかし、2023年11月に欧州議会での議決では否決され、その後もEU理事会でも進展が見られない状況が続いていた。フォン・デア・ライエン委員長は、本規則案の撤回を正式に提案すると表明した。

一方で、持続可能な農薬の使用については重要な政策であり、今後も農家との対話を重視したアプローチが必要だと述べた。この対話には、農家、若手農家、農村コミュニティ、産業界、金融機関、消費者団体、環境団体、アカデミアなどが幅広く参加する予定である。

一部の国々では、農家らが規則案に反対して道路を封鎖する抗議運動が展開されている。フォン・デア・ライエン委員長は、気候変動の影響やウクライナ戦争によるエネルギー・肥料価格の上昇など、農家が直面している課題に理解を示した。

【参照ページ】
(原文)Speech by President von der Leyen at the European Parliament Plenary on the conclusions of the European Council meetings, in particular the special European Council meeting of 1 February 2024

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-18

    オーストラリア裁判所、グリーンウォッシュ訴訟でバンガードに有罪判決

    3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のE…
  2. 上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    2024-4-15

    上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    4月に発表した、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIの新しいレポートによると、世界の上場…
  3. SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    2024-4-15

    SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    4月9日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)は、企業の環境持続可能な行動を気候変…

アーカイブ

ページ上部へ戻る