StellantisとCATL、スペインに大規模LFP電池工場の合弁事業を発表

12月10日、StellantisとCATLは2026年末までに、スペイン・サラゴサに新型リン酸鉄リチウム(LFP)電池工場を建設する合弁事業を発表した。最大41億ユーロが投資されるこのプロジェクトは、世界的な電気自動車(EV)市場の需要に応えるとともに、持続可能なエネルギー転換を推進する取り組みとなる。

合弁事業の概要

この合弁事業は、Stellantisのスペイン・サラゴサ工場内に設立され、2026年末までに生産を開始する計画だ。いくつかの段階を経て、最大50GWhの生産能力に達する可能性がある。投資はStellantisとCATLが折半し、EV用のLFP電池セルおよびモジュールを欧州市場に供給する。

戦略的意義

Stellantisは、手頃な価格で高品質な電気自動車を提供する「デュアルケミストリー」戦略を推進しており、LFP技術を活用して、BおよびCセグメント向けの乗用車、クロスオーバー、SUV市場を強化する。

CATLは、高度なバッテリー技術で世界の気候変動問題に対応し、スペインの工場を通じて欧州市場での存在感を一層高める計画だ。同社はすでにドイツとハンガリーに先進的なバッテリー工場を展開しており、今回の合弁事業がさらにその取り組みを加速する。

両社のコメント

Stellantisのジョン・エルカン会長
「Stellantisは、競争力のある電気自動車製品を提供し、脱炭素社会の実現に貢献するため、最新のバッテリー技術を積極的に採用しています。CATLとの提携により、サラゴサに革新的なバッテリー生産拠点を設け、持続可能なアプローチを推進する一助となります。」

CATLのロビン・ツェン会長兼CEO
「Stellantisとの協力は新たな段階に入りました。サラゴサの工場が、当社の技術力とStellantisの経験を融合し、業界における成功モデルを構築すると確信しています。」

欧州市場の期待と支援

この新工場は、欧州連合(EU)およびスペイン政府の支援を受け、地域経済の成長とエネルギー転換の加速に貢献することが期待される。また、Stellantisは2038年までにカーボン・ネット・ゼロ企業を目指しており、すべての排出量を一桁台のパーセンテージで補償する方針だ。

本取引は2025年中に完了予定であり、通常の規制条件に従う必要がある。

【参照ページ】
(原文)Stellantis and CATL to Invest Up to €4.1 Billion in Joint Venture for Large-Scale LFP Battery Plant in Spain
(日本語参考訳)ステランティスとCATL、スペインで大規模LFP電池工場の合弁事業に最大41億ユーロを投資

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