2月8日、オランダを拠点とする欧州最大級の年金基金PFZWは、シェル、BP、トタルエナジーズを含む300社以上の化石燃料企業への投資を、説得力のある脱炭素化計画の欠如を理由に終了し、ポートフォリオに残るのは7社のみとなったと発表した。
本発表は、年金基金による2年間のエンゲージメント・プロセスの終了を意味する。このプロセスでは、ポートフォリオの石油・ガス企業に対する一連の基準引き上げが行われ、排出削減目標を伝えられなかった114社が最初に売却され、次いで、2050年までにネット・ゼロにするというパリ協定の目標へのコミットメントを表明していない企業、そして最後に、パリ協定に沿った目標を達成するための十分な短期・中期・長期計画を提示しなかった企業が売却された。
全体として、PFZWは310社への投資を終了し、28億ユーロ(約4,514億円)の有価証券を売却した。
PFZWのポートフォリオに残っている化石燃料企業には、Cosan、Galp Energia、Granul Invest、Neste、OMV、Raízen、Worleyなどがある。PFZWは売却を発表したブログ記事で、残りの企業について「化石エネルギーから再生可能エネルギーへの移行に完全にコミットしているか、現在すでに低カーボンフットプリントで主にエネルギーを生産している」と説明している。
石油・ガス・エンゲージメント・プログラムの終了に伴い、PFZWは今後、二酸化炭素排出量の多い電力会社や素材メーカーなど、化石燃料を大量に消費する企業をターゲットとし、これらの企業に意欲的な移行戦略を求めていくと述べた。
PFZWの目標には、2050年までに気候変動に左右されないポートフォリオを目指すこと、株式、流動性クレジット、不動産の保有において2030年までに絶対炭素排出量50%削減を達成することが含まれている。同年金基金はまた、2030年までに資産の15%を気候変動対策に投資し、今後2年間で20億ユーロ(約3,224億円)を気候変動やエネルギー転換に測定可能な影響を与える企業への投資に振り向けることを目標としている。
【参照ページ】
(原文)Big European fund sells €2.8bn in oil holdings because of slow moves on climate
(日本語参考訳)欧州の大手ファンド、気候変動問題への対応の遅れを理由に4500億円超の石油保有を売却