H2グリーンスチール、脱炭素鉄鋼新工場向けに7,500億円超の資金調達

1月22日、脱炭素鉄鋼スタートアップであるH2グリーンスチールは、総額47億5,000万ユーロ(約7,500億円)に上る一連の新たな資金調達を発表した。本資金は、従来の高炉技術に比べ排出量を95%削減した鉄鋼を生産できる、世界初の大規模なグリーン・スチール・プラントの建設資金に充てられる。

今回発表された資金調達には、42億ユーロ(6,700億円)のプロジェクト債務融資、3億ユーロ(約480億円)の株式、EUイノベーション基金からの2億5,000万ユーロ(約400億円)の助成金が含まれる。

製鉄は、世界的に最もCO2を排出するセクターのひとつであり、本セクターからのGHG排出量は、世界の化石燃料使用による直接排出量の7~9%を占めている。

2020年に設立されたH2グリーン・スチールは、スウェーデンのボーデンに主力となるグリーン・スチール・プラントを開発中で、本プロジェクトには、鉄鋼生産施設と一体化したギガスケールのグリーン水素プラントが含まれている。同社は、酸化鉄から酸素を除去するためにグリーン電力で製造された水素を採用し、通常発生するCO2排出の大部分を回避し、製造工程で発生するエネルギー需要には100%再生可能な資源からの電力を使用する。H2グリーンスチールは2025年の生産開始を目指しており、2030年までに500万トンのほぼ化石燃料を使用しない鉄鋼を生産する計画だ。

同社は最近、ボルボ、スカニア、メルセデス・ベンツ、BMW、ZFを含む複数の大手自動車メーカーや自動車部品メーカーを含む一連の供給契約を発表した。全体として、H2グリーンスチールは、年間250万トンという当初の販売量の半分が、すでに5年から7年の拘束力のある顧客契約で販売されていると述べた。

新たな負債による資金調達には、35億ユーロ(約5,600億円)の上位負債と最大6億ユーロ(約950億円)の下位負債枠が含まれる。今回の増資で新たに加わった株主には、マイクロソフト・クライメート・イノベーション・ファンド、ムベア、シーメンス・フィナンシャル・サービスが含まれる。

今回の発表により、H2グリーンスチールは現在までに65億ユーロ(1.4兆円)の資金を確保している。

【参照ページ】
(原文)H2 Green Steel raises more than €4 billion in debt financing for the world’s first large-scale green steel plant
(日本語参考訳)H2グリーンスチール、脱炭素鉄鋼新工場向けに7,500億円超の資金調達

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