12月12日、英金融シンクタンクNGOのプラネット・トラッカーは、世界最大級の石油化学集積地であるベルギー、ドイツ、オランダを調査した結果、石油化学大手が大気中に大量の有毒物質を排出していることを発表した。健康と環境に大きな懸念をもたらしているにもかかわらず、機関投資家はこの事実をほとんど見過ごしていることを問題視した。
本分析は、米国湾岸諸国地域を調査した「Toxic Footprints US」に続くもの。化粧品からカーペットまで日常的に使用されている製品による深刻な有毒物質の発生量を明らかにし、本地域の石油化学産業の最大の資金提供者に対し、緊急に行動するよう呼びかけている。
今回の報告書「Toxic Footprints Europe」では、2010年以降に1億2,500万トンの化学物質が放出・移動され、その結果、健康寿命が24,640年失われ、570億種の生物種が影響を受けたとして、3カ国における化学地域の1,093施設を特定している。
ブラックロック(総投資額の5.4%)、バンガード(5.2%)、JPモルガン・チェース(3.6%)を筆頭に、5,000近い金融機関が3カ国化学地域の石油化学工場に出資しており、投資家は有害物質の排出を最小限に抑える上で重要な役割を担っている。プラネット・トラッカーはまた、有毒物質の放出を取り締まるグローバル・プラスチック条約の締結に向けた交渉が進行中であることも指摘した。
本報告書は、業界における最悪の汚染者を特定し、上位2社であるBASFとソルベイが全有害物質汚染(3,480万トン)のほぼ3分の1を占めている。投資家が投資に関するリスクをよりよく理解し、有害物質の排出を最小限に抑えるために行動できるよう、投資家向けの対話型ダッシュボードで調査結果を紹介している。
【参照ページ】
(原文)57 billion fractions of species are potentially affected through toxic emissions in petrochemical hotspot in Europe, Planet Tracker finds
(日本語参考訳)プラネット・トラッカー、欧州の有毒化学物質排出で570億種の生物種に影響