1月12日、投資大手のBlackRockは、脱炭素化、エネルギー安全保障、デジタルインフラ、サプライチェーン移行などの分野で新たな長期的機会が生まれているとして、インフラ投資家のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)を125億ドル(約1.8兆円)の現金と株式で買収すると発表した。
2006年に設立されたニューヨークを拠点とするGIPは、世界最大の独立系インフラ・マネージャーであり、エネルギー、運輸、デジタル、水・廃棄物セクターへの投資をターゲットに、インフラ・エクイティおよびクレジット戦略で1,000億ドル(約14.5兆円)以上の運用資産を有している。同社の投資先には、ガトウィック空港、エディンバラ空港、シドニー空港、データセンター・デベロッパーのサイラスワン、廃棄物・水循環ソリューション・プロバイダーのスエズ、鉄道・港湾事業者に加え、大手自然エネルギー・プラットフォームのクリアウェイ、ヴェナ、アトラス、エオリアンが含まれる。
今回の取引は、BlackRockが12月に発表した「2024年プライベート・マーケッツ・アウトルック」において、インフラを投資機会の主要な源泉と位置づけていることを受けたもので、低炭素社会への移行を主要なメガテーマとし、世界中のエネルギー・システムを再構築するために今後「大規模な資本の再配分」が行われることを強調している。GIPは、脱炭素化を投資テーマの中心に据えている。
BlackRockは、今回の買収を発表したプレスリリースの中で、「インフラストラクチャーは今後数年間、民間市場で最も急成長する分野のひとつになると予測されている」とし、その主な要因として、アップグレードされたデジタルインフラに対する世界的な需要の増加、空港、鉄道、海運港などの物流ハブへの再投資につながるサプライチェーンの再構築、世界的な脱炭素化とエネルギー安全保障の動向などを挙げている。
BlackRockはまた、インフラに特化した民間投資家にとって、高金利による好環境に加え、政府の財政赤字が大きい環境下で官民パートナーシップに参加する機会があり、企業は組み込まれたインフラ資産のパートナーシップの機会を通じて資本収益率を向上させたいと考えていると指摘した。
買収後の統合会社は、GIP経営陣が率いる1,500億ドル(約22兆円)を超えるグローバル・インフラ・プラットフォームを誇ることになる。また、GIPの創業パートナーであるバヨ・オグネシ会長兼CEOは、本取引終了後、ブラックロックの取締役に就任する予定であると両社は述べる。