12月18日、英国エネルギー安全保障・ネット・ゼロ省は、欧州連合(EU)が先行導入している「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」を英政府も2027年までに導入する方針を発表した。CBAMは別名「国境炭素税」としても知られている。
英政府は、本施策の背後にある理由を「炭素リーケージ」への対応と説明している。炭素リーケージとは、国内での炭素規制が強化されると、産業が海外に移転し、国内経済が弱体化する現象を指す。CBAMを導入することで、国外からの輸入品にも同様の炭素負担をかけ、国内産業を保護しようという狙いがある。
英国版CBAMの対象製品には、アルミニウム、セメント、セラミックス、肥料、ガラス、水素、鉄鋼などが含まれる。具体的な対象製品については、2024年中に協議される予定である。
英国版CBAMの算定対象は原則としてスコープ1と2だが、一部の製品については一次部品のスコープ3も対象になる考えがある。課される価格は排出量に応じており、金額水準については固定額か排出量取引市場(UK-ETS)の市場価格をベースにするかが検討されている。輸入元の制度状況を考慮し、差額を課す方針も示されている。
なお、CBAMに関しては米国連邦議会でも2023年に4つの法案が提出されており、それぞれ異なるアプローチが模索されている。