12月20日、英国政府のエネルギー安全保障ネット・ゼロ省は、英国を炭素回収・利用・貯留(CCUS)の世界的リーダーとして確立するための計画を定めた「CCUSビジョン」を発表した。
同計画の主な内容には、英国におけるCCUSを2030年までに少なくとも2,000万トンのCO2排出量に増強すること、2035年以降、英国に競争力のある自立したCCUS市場を創設することなどが含まれる。
炭素回収・貯留は、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成する英国の戦略の重要な部分を形成しており、特に、鉄鋼、セメント、化学など、排出集約的で脱炭素化が困難な産業からの排出削減を可能にするソリューションとして注目されている。
新しいCCUSビジョンは、産業の脱炭素化への貢献に加えて、英国がそのユニークな地質、インフラ、能力、そして780億トンのCO2と推定される北海の貯留能力を活用し、他国に貯留サービスを提供する機会も強調している。全体として、CCUSを「国家資産」に発展させることで、2050年までに年間50億ポンド(約9,000億円)の経済活性化を見込んでいる。
2030年までの「市場創出」では、4つの貯留クラスターを設立し、各分野におけるCCUSの初期導入を支援し、炭素輸送能力を開発する一方で、政府による高水準の支援を必要とする。2030年から2035年にかけての「市場移行」では、CO2輸送ネットワークの成熟と技術開発によりコストが低下し、政府支援の必要性が減少するにつれて、商業的かつ競争的な市場が出現する。
CCUSビジョンの発表と並行して、政府は炭素貯留クラスターの開発に関する一連の最新情報も発表した。これには、ティーサイドとハンバーにある東海岸クラスターの陸上・海上インフラを提供するために設立されたCO2輸送・貯留会社であるノーザン・エンデュランス・パートナーシップ(NEP)との最初の商業条件に関する合意や、今年初めに発表された2つの新しいクラスターに適した捕捉プロジェクトの設立・特定プロセスを加速させる計画などが含まれる。
【参照ページ】
New vision to create competitive carbon capture market follows unprecedented £20 billion investment