ING、2040年までに石油・ガス探鉱・生産への融資を段階的に廃止へ

ING、2040年までに石油・ガス探鉱・生産への融資を段階的に廃止へ

12月20日、アムステルダムを拠点とするグローバル銀行INGは、石油・ガス上流事業への融資を2040年までに段階的に廃止し、石油・ガス探査・生産への融資を終了すると発表した。さらに、再生可能エネルギー発電への融資を2025年までに3倍にするという新たな目標についても述べた。

INGによると、新コミットメントは、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、2050年までに化石燃料からの転換を図り、ネット・ゼロを達成するという国際的な合意を初めて達成し、2030年までに再生可能エネルギー容量を世界全体で3倍にするという呼びかけがなされたことを踏まえたものである。

石油・ガス上流部門への融資を段階的に削減する計画の一環として、INGは2030年までに石油・ガス上流部門への融資を35%削減する目標を発表した。

新たなコミットメントは、INGの「テラ・アプローチ」を大幅に更新するもので、ポートフォリオの最も炭素集約的な部分を2050年までにネット・ゼロに導くという戦略である。2022年3月、INGは油田・ガス田向けの新たな上流専用ファイナンスの提供を終了すると発表し、今年初めには、石油・ガスインフラを対象とした新たな資金調達規制の導入と、トレード&コモディティ・ファイナンス事業における取引される石油・ガスの融資量を削減する計画を発表した。

新たな再生可能エネルギー目標は、2025年までに同行の再生可能エネルギー発電への融資額を年間75億ユーロ(約1兆円)に引き上げるもので、2021年の15億ユーロ(約2,340億円)から2025年までに50%増加させるという事前目標を大幅に上回る。

INGは、世界のエネルギー利用の80%が依然として化石燃料をベースとしていることを指摘し、そのエネルギー政策は、気候変動に対処するための脱炭素化と、人々や企業にとって手頃な価格でエネルギーを維持し、安全なエネルギー供給を確保することを可能にするという重要な利益のバランスをとることを目的としていると述べた。

【参照ページ】
(原文)ING takes next steps on energy financing after COP28
(日本語参考訳)ING、2040年までに石油・ガス探鉱・生産への融資を段階的に廃止へ

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る