FfB、投資家向けに自然関連目標設定フレームワークを発表

11月30日、 ファイナンス財団(FfB)は、運用会社およびアセットオーナー向けに、生物多様性に関する目標設定フレームワークのベータ版を発表した。本フレームワークは、上場株式と社債を対象としており、将来的には他のアセットクラスにも拡大される予定である。

FfBは、国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)で採択された昆明-モントリオール生物多様性枠組に即して、2030年までに生物多様性の損失を抑止・再生させるための目標設定を支援することを目的としている。同フレームワークは、FfB加盟の44団体との協力によって開発され、投資家が目標を設定し、資金フローを誘導するための共通理解と共通言語の構築を目指している。

フレームワークには以下の4つのターゲットが設定されている。

  1. 開始目標(体制目標):2026年までに、アセットマネジャーおよびアセットオーナーは、自然関連インパクト、依存関係、リスク、機会の重要性を理解し、それに対するエクスポージャーを分析する。
  2. セクター目標:2030年までに、上場株式および社債において、各セクターの生物多様性の損失に最も影響を与える直接的要因を削減するための緩和アクションに焦点を当てる。
  3. エンゲージメント目標:セクター目標を補完し、発行体へのエンゲージメント、スチュワードシップ、議決権行使に関する目標を設定します。将来的には政策やアドボカシー目標も含まれる予定である。
  4. ポートフォリオ・カバレッジ目標:セクター目標をポートフォリオ・レベルに変換し、投資家の貢献をモニタリングし、外部ステークホルダーに報告可能にする。

FfBは2024年に完全版を完成させ、具体的な目標を掲載する予定であり、2024年後半以降には対象アセットクラスを拡大し、ポジティブ・インパクト・ターゲットも含めていく方針である。また、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)や国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)との協働も進められる。

【参照ページ】
(原文)FFB FOUNDATION LAUNCHED THE NATURE TARGET SETTING FRAMEWORK FOR ASSET MANAGERS AND ASSET OWNERS
(日本語参考訳)ffb財団、アセットマネージャーとアセットオーナーのための自然目標設定フレームワークを発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る