12月1日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)において、岸田文雄首相は重要なスピーチを行い、日本政府の気候変動対策について新たな方針を発表した。
岸田首相は、「排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していく」と宣言し、特にアンモニア混焼による排出削減を伴わない石炭火力発電所の新設には慎重な立場を取ると表明した。
同時に、「排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所については、各国の事情に応じたそれぞれのネット・ゼロへの道筋の中で取り組まれるべき」と述べ、需要があれば、日本政府が今後も支援していく姿勢を示した。岸田首相は、12月に予定されている「アジアゼロエミッション共同体」の首脳会合を通じて、地域的な協力を促進する計画を発表した。
岸田首相はまた、官民合わせて700億ドル(約9兆円)の支援を表明し、これにより世界銀行とアジア開発銀行(ADB)による約90億ドル (約1兆円) の融資余力拡大に貢献する用意があることを強調した。アフリカ開発銀行(AfDB)の新基金にも積極的な資金拠出を示唆した。
一方で、国連事務総長アントニオ・グテーレスはCOP28でのスピーチで、「1.5℃目標を達成するためには、化石燃料燃焼を直ちに中止し、明確なタイムフレームに基づく段階的廃止が必要だ」との立場を表明。これは日本政府の「排出量の削減を伴わない(Unabated)」との方針と対立するものだった。
岸田首相は最後に、全温室効果ガスを対象とする総量削減目標の設定と、2025年までの世界の排出量ピークアウトが必要であるとの考えを示し、省エネ、再生可能エネルギー、原子力発電の活用を柱としたクリーンエネルギーの導入を強調した。岸田首相は、COP28で目指されている2030年までの再生可能エネルギー設備容量の3倍増、省エネ改善率2倍の目標に賛同し、太陽光発電の世界第3位の実績をアピールした。