11月14日、ドミニク・ウンAPECビジネス諮問委員会(ABAC)委員長は、サンフランシスコで開催されたイベントで説得力のあるスピーチを行い、差し迫った課題に取り組む上でAPECビジネスリーダー間の協力の必要性を強調した。APEC首脳会議とAPEC最高経営責任者(CEO)サミットが開催される中、カリフォルニア州に拠点を置く銀行、イースト・ウエスト・バンクのCEOを務めるウン氏は、持続可能な未来を育む上で、ビジネスの回復力と地域社会の改善が極めて重要な役割を果たすことを強調した。
ドミニク・ウン会長が説明した2023年のテーマは、”公平性”、”持続可能性”、”機会 “を中心に展開される。ダイナミックに変化する世界を背景に、ウン会長は、持続可能な未来のために、ビジネスの回復力を高め、地域社会の生活水準を向上させるための行動を起こすことの重要性を強調した。
ABACはこれまでも、「サプライチェーン・レジリエンス・ツールキット」、「持続可能なサプライチェーンにおける中小企業のためのESGフレームワーク」、「信頼構築のためのサイバーセキュリティ・ツールキット」など、さまざまなリソースを発行し、実践的なガイダンスを積極的に提供してきた。
気候変動とAIに関する具体的な宣言の中で、ABACは、緩和、適応、公正な移行に焦点を当てた「ビジネス気候リーダーシップ原則」へのコミットメントを再確認し、APEC加盟国首脳に5つのコミットメントを提示した。
- 非効率な化石燃料補助金やその他の環境に有害な補助金を速やかに廃止し、排出削減を加速する。
- 域内における公正な移行に向けた協調的で強化された資金調達を促進する。
- 公正で野心的、現実的かつ持続可能なエネルギー転換を確保する。
- 気候変動に対処し、グリーン保護主義を回避し、排出削減と迅速な適応にインセンティブを与える上で、貿易が果たす極めて重要な役割を認識する。
- 持続可能で低炭素な経済要件を満たすために変革する産業のニーズを満たすため、労働力におけるグリーンスキルを開発する。
AIに関して、ABACは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にAIが大きく貢献できることを認めた。しかし、同意、倫理、デュアルユース、透明性、そして誤情報、学習データの偏りや解釈可能性、知的財産権の課題、労働市場への影響、プライバシー、セキュリティ、監視といった課題に取り組むことの重要性を強調した。
ABACは、米国、中国、ASEAN、G7、英国、国連などが策定している枠組みへの積極的な関与を表明した。さらにABACは、APECの年次カレンダーにデジタル技術・AI開発担当大臣会合を含めることを提案した。ABACのデジタル・イノベーション・ワーキンググループは、APEC閣僚会合期間中にAIの開発と準備に関する専門家ラウンドテーブルを開催するよう要請した。
【参照ページ】
(原文)Business Leaders: Embrace Collaboration to Tackle Global Challenges in Equity, Sustainability and Trade
(日本語参考訳)ABAC、APECビジネスリーダーに対し、差し迫ったグローバルな課題への協力を要請