米中政府、気候危機に対処するための協力強化に関するサニーランズ宣言発表

米国のジョン・ケリー気候担当大統領特使と中国の謝振華気候変動担当特使は、2023年7月16日から19日まで北京で、11月4日から7日までカリフォルニア州サニーランズで会談し、「サニーランズ宣言」を発表した。インドネシアのバリで行われた習近平国家主席とジョセフ・R・バイデン大統領との会談を受け、米国と中国は、気候危機に対処するため、他の国々と共同・協力して取り組むというコミットメントを再確認した。

宣言の内容は以下の通りである。

  1. 米国と中国は、2021年4月の「気候危機に対処する米中共同声明」と2021年11月の「2020年代における気候行動の強化に関する米中グラスゴー共同宣言」を想起し、再確認し、効果的かつ持続的な実施をさらに進めることを約束する
  2. IPCC第6次評価報告書を含む入手可能な最善の科学的知見に警鐘を鳴らしつつ、米国及び中国は、異なる国情に鑑み、衡平性及び共通だが差異ある責任の原則とそれぞれの能力を反映しつつ、UNFCCC及びパリ協定の効果的な実施に引き続きコミットする。パリ協定の第2条に則り、世界平均気温の上昇を2℃を十分に下回る水準に抑え、1.5℃を達成可能な範囲にとどめる努力を含め、1.5℃に抑える努力を追求する
  3. 米国及び中国は、グラスゴー気候協定及びシャルムエルシェイク実施計画を含め、パリ協定及びそれに基づく決定事項の効果的な実施に引き続きコミットする。条約およびパリ協定の他の締約国と協力し、人類の現在および将来の世代にとって、現代における最大の課題のひとつに立ち向かう
  4. 米国と中国は、2020年代における具体的な気候変動行動を加速するための対話と協力を行うため、2020年代における気候変動行動の強化に関する作業部会を運用開始することを決定する。同作業部会は、エネルギー転換、メタン、循環型経済及び資源効率、低炭素で持続可能な省・州・都市、森林減少を含む、共同声明及び共同宣言において特定された協力分野、並びに合意されたテーマに焦点を当てる

エネルギー転換、メタン及び非CO2の温室効果ガス(GHG)、サーキュラーエコノミー及び省エネ、地方政府間強力、森林、GHGと大気汚染物質削減のシナジー、2035年国別削減目標(NDC)、COP28の各分野では個別の合意に達した。

エネルギー転換については、2030年までに再生可能エネルギー設備容量を世界全体で3倍にする努力を追求するというG20首脳宣言を支持した。2030年までに石炭、石油、ガスの各火力発電を再生可能エネルギーに代替する動きを加速させることでも合意。米中エネルギー効率フォーラムも再開する。

メタン及び非CO2のGHGについては、2035年のNDCに盛り込むため、各自で国別メタン排出削減行動計画を実施する。両国での政策対話、技術的解決策の共有、キャパシティビルディングに関する技術作業部会協力も直ちに開始。一酸化二窒素の排出管理のための措置でも協力する。

サーキュラーエコノミー及び省エネにおいても政策対話を開始する。両国の企業や大学・研究機関間の共同プロジェクトも支援。海洋環境を含むプラスチック汚染に関する国際的な法的拘束力のある文書作成でも協力する。

地方政府間協力については、特に、電力、交通、建物、廃棄物分野で、州、省、市間の気候協力を支援する。双方の州政府、企業、シンクタンク等の参画も促す見込み。両国政府間では、政策対話、ベストプラクティスの共有、情報交換、及び協力プログラムの促進のため、定期会合を開催する。

森林については、双方の法規制及び政策を通じ、違法輸入の禁止に関する措置を実施する。2030年までに森林の減少を阻止し、再生させるための努力を進めるための作業部会も設置する。

2035年NDCについては、全てのGHGを含み、世界平均気温の上昇を2℃以下に抑え、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求するというパリ協定の気温目標に沿った削減量を反映する。

COP28については、議長国のアラブ首長国連邦(UAE)を加え、メタン及び非CO2のGHGガスサミットを共催するとした。

【参照ページ】
(原文)Sunnylands Statement on Enhancing Cooperation to Address the Climate Crisis
(日本語参考訳)米中政府、気候危機に対処するための協力強化に関するサニーランズ宣言発表

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    2024-11-18

    ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    サステナビリティを推進には新しい知見の収集が必須。しかし、必要なセミナー情報を見つけるのに時間がか…
  2. ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント

    2024-11-18

    ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント(再掲)

    サステナビリティ情報、非財務情報、ESGデータなど企業のサステナビリティの取り組みを示す情報は、投…
  3. 2024-11-15

    【PR】12/3 記念イベントESG評価スコア改善『S&Pに聞く!2025年に向けたCSA徹底解剖』 (オンライン)

    いつもESG Journal Japanをご覧いただきましてありがとうございます。 ESG評…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る