10月31日、化学業界における国際的なサステナビリティ・イニシアティブであるトゥギャザー・フォー・サステナビリティ(TfS)は「スコープ3報告の改善と調和」と題する新しいホワイトペーパーを発表し、スコープ3の二酸化炭素排出量算出の斬新なアプローチを提示した。
TfSは2022年11月に「プロダクト・カーボン・フットプリント(PCF)ガイドライン」を発表しており、今回のホワイトペーパーは本ガイドラインに基づき、バイオベース材料、マスバランス/エネルギーバランス、リサイクル材料の3つの主要分野に焦点を当て、さらなる改善を図っている。
バイオベース材料に関して、白書は現行の温室効果ガス(GHG)プロトコルの限界に注目している。しかし、本アプローチでは、バイオマス原料をリサイクルする際の排出量を正確に計算することが難しい。これに対処するため、TfSは「-1/+1アプローチ」を提案する。本アプローチでは、原料生産時の排出と吸収を明確に区別し、バイオベース原料の使用時や廃棄時には通常通り排出量を計算し、同時にカテゴリー1の原料調達時の排出量をマイナスにカウントすることを提案する。
マスバランス/エネルギーバランスの観点から、TfSは、GHG議定書では明確に規定されていないものの、これらのアプローチを公式に認めることを提唱している。誤解を招く主張を防ぐため、TfSは、マスバランスとエネルギーバランスの有効性を同一施設内のプロセスに限定し、施設横断的な主張には明確な認証スキームを義務付けることを推奨する。さらに、年度をまたいだ主張は容認できない。
再生材料とリサイクルプロセスに関して、ホワイトペーパーでは、廃棄物発生企業と材料使用企業間のリサイクルプロセスからの排出量の配分など、複雑な問題を提起している。さらに、廃棄物の熱回収から得られる価値を平等に分配するという課題も取り上げている。また、計算ロジックの結果、バージン材料に比べてリサイクル材料の排出量が多くなる可能性があるという潜在的な問題についても言及している。
BASFのサステナビリティ・メソッド・ディレクターであり、TfSスコープ3プログラムの共同議長を務めるピーター・サリング氏は、このホワイトペーパーの作成において極めて重要な役割を果たした。BASFの経験から、本文書は既存の方法の欠点を説明するだけでなく、これらの複雑な問題についてさらなる審議の必要性を強調している。
【参照ページ】
(原文)White Paper explores new approaches to counting carbon in chemical sector
(日本語参考訳)TfS、化学産業におけるスコープ3炭素排出量算定の革新的アプローチを発表