欧州議会とEU理事会、欧州半導体法について政治的合意

4月18日、 欧州議会とEU理事会は、2022年2月8日に欧州委員会が提案した「欧州半導体法」について、予算を含め政治的合意に達した。

欧州半導体法は、EU内での製造活動を強化し、欧州の設計エコシステムを刺激し、バリューチェーン全体にわたってスケールアップとイノベーションを支援する。同法には3つの柱があり、これを通じてEUは、現在の世界市場シェアを2030年に20%に倍増させるという目標の達成を目指す。

まず、研究と実用化の間をつなぐイノベーションを促進するために「Chips for Europe Initiative」を発足した。62億ユーロ(約9,200億円)の公的資金を確保し、そのうち33億ユーロ(約4,800億円)は、現行の多年次財政枠組みが終了する2027年までの期間について合意した。設計プラットフォームや実証ラインの設置、欧州全域に配置されるコンピテンスセンターの設立等を支援する。本センターは、特に中小企業の設計能力の向上とスキル開発を支援する。 さらに、新興企業や中小企業を支援するため、InvestEUの下で設立されたChips Fundや半導体専用の株式投資施設を通じて、資金調達へのアクセスを確保する。

第2の柱は、半導体メーカーとそのサプライヤー向けの製造施設に対する官民の投資を奨励するものである。これは、430億ユーロ(約6.3兆円)と見積もられる同分野への公共投資全体に貢献する。実行のために、統合生産施設とオープンEUファウンダリーの枠組みも定める。

第3の柱は、加盟国と欧州委員会間の調整メカニズムの確立である。連携を強化し、半導体の供給を監視し、需要や不足を予測し、必要に応じて危機管理段階を作動させるため、制度面を整備する。

欧州半導体法の提案以来、産業展開に向けた投資計画は900億〜1000億ユーロ(約13~14兆円)に達している。同法の採択により、プロジェクトがより早く実現し、欧州の半導体サプライチェーン確保のための投資誘致がさらに進展することになる。

【参照ページ】
(原文)Commission welcomes political agreement on the European Chips Act
(日本語参考訳)欧州議会とEU理事会、欧州半導体法について政治的合意

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-18

    オーストラリア裁判所、グリーンウォッシュ訴訟でバンガードに有罪判決

    3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のE…
  2. 上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    2024-4-15

    上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    4月に発表した、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIの新しいレポートによると、世界の上場…
  3. SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    2024-4-15

    SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    4月9日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)は、企業の環境持続可能な行動を気候変…

アーカイブ

ページ上部へ戻る