10月13日、欧州議会の40人以上の議員からなるグループは、最近可決された欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を否決し、同基準をより簡素で負担が少なく、拡大解釈のない企業のサステナビリティ開示規則に置き換えることを求める決議案を提出した。
本決議は、欧州委員会が2023年7月にESRSを採択したことを受けたもの。ESRSは、EUの次期「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」に基づき、企業がサステナビリティに関連する影響、機会、リスクについて報告するための規則と要件を定めたものである。
CSRDは2024年初頭からの適用開始を目指しており、現在のEUのサステナビリティ報告の枠組みである2014年非財務報告指令(NFRD)の大幅な更新を目的としている。新規則は、サステナビリティの開示を求められる企業数を現在の約1万2,000社から5万社以上に大幅に拡大し、環境、人権、社会基準、サステナビリティ関連のリスクに対する企業の影響について、より詳細な報告要件を導入する。
欧州委員会が一旦採択したESRSの委任法は修正できないが、EU理事会および欧州議会は、技術的にはまだこの法律を否決することができる。
欧州議会議員によって提出された動議は、ESRSが「サステナビリティ報告基準の複雑さゆえに、企業に高い管理負担を強いる」ものであり、企業、特に中小企業に過度の負担を強いることになると主張している。また、同基準は「使用可能な主要業績評価指標(KPI)に欠けており」、測定可能で企業間で比較可能な基準を作成することができないとしている。
続いて欧州議会議員は、ESRSに代わる、より複雑でなく定量的なサステナビリティ報告基準を定めた新たな委任法の制定を求めている。また、決議案では、新規則の実施期間を長くすること、中小企業向けの自主基準を設けること、さらに、要求事項の適用対象となる企業規模を決定する従業員ベースの基準値を引き上げ、従業員数1,500人以下の中堅企業を定義することも求めている。現行法では、従業員500人以上を大企業と定義している。
本決議案が過半数の議員を味方につけられる可能性があるかどうかはまだ不透明だ。EU議会は11月、525対60の賛成多数でCSRDを承認した。
【参照ページ】
(原文)EU lawmakers push to weaken corporate sustainability disclosure
(日本語参考訳)EU議員、サステナビリティ報告基準の水増しに動く