9月18日、自動車メーカーのメルセデス・ベンツは、アラバマ州タスカルーサ工場向けに年間5万トン以上のCO2削減鋼材を供給することで、米国を拠点とする鉄鋼メーカーで金属リサイクル業者のSteel Dynamicsと合意したと発表した。
このCO2削減鋼材は、早ければ今月中にも同工場での連続生産に導入される予定である。
Steel Dynamics(SDI)は、リサイクル鉄スクラップを主原料とする電気炉(EAF)技術を用いて鉄鋼を生産しており、バージン鉄鉱石の製錬や石炭の燃焼を必要としないため、従来の高炉製鋼技術に比べてエネルギー集約度が低く、二酸化炭素排出量が大幅に削減される。
両社によると、SDIが供給する鉄鋼は、100%再生可能資源からの電力を使用するため、高炉や塩基性酸素炉を使用する一次鉄鋼生産と比較して、EAF生産による鉄鋼生産では排出量を半分以下に削減できる。SDIは最近、ネクステラ・エナジーと308MWの再生可能エネルギー製品購入契約(RPPA)を締結した。
メルセデス・ベンツのタスカルーサ工場は、GLE、GLEクーペ、GLSモデルシリーズを含むSUVモデルや、オール電化SUVのEQS、EQEを生産している。同工場で生産される全モデルには現在、70%以上の再生スクラップを使用したSDI平圧延鋼板が使用されており、両社は近い将来、スクラップの割合を増やす可能性に合意している。
メルセデス・ベンツは今年初め、投資家やアナリストを対象としたESG会議で発表した一連のESG関連目標や取り組みの一環として、遅くとも2039年までにはグリーンな鉄鋼サプライチェーンを実現するという目標を掲げており、これには2030年までに生産時のCO2排出量を80%削減するという目標も含まれていた。
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(参考記事)Mercedes-Benz AG and Steel Dynamics Inc. secure sustainable steel supply deal for Tuscaloosa plant