9月7日、マイクロソフトは、DAC(Direct Air Capture)技術企業のHeirloomと、最大315,000トンのCO2除去に関する複数年契約を締結したと発表した。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中からCO2を直接抽出して原料として使用することや、貯蔵と組み合わせることで永久的に除去することが可能である。昨年発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トンに拡大する二酸化炭素除去方法が含まれており、DACはその大部分を占める可能性がある。
Heirloomは現在、パートナーのBattelleおよびClimeworksとともに、ルイジアナ州を拠点とするプロジェクト・サイプレスを開発している。このDACハブは、年間100万トン以上のCO2を大気中から回収し、地下深くに恒久的に貯蔵できると期待されており、これは現在稼働している最大のDAC施設の250倍以上の容量である。
マイクロソフトとの合意は、プロジェクト・サイプレスが米エネルギー省(DOE)により最高6億ドル(約880億円)の助成金を受けることが先月発表されたことに続くものである。
DACを含め、CO2を回収・貯蔵するソリューションのほとんどは初期段階にあり、現在のところ規模が限られている。マイクロソフトとの新たな契約は、将来のプロジェクト・キャッシュフローで資金を調達するバンカブル・メカニズムを使用する最初のCO2除去契約の1つとして、DAC開発のためのHeirloomの新たな資金調達メカニズムを可能にする。
今回の合意は、2030年までにカーボン・マイナスを達成し、2050年までに過去の排出量をすべて削減するというマイクロソフトのイニシアティブの一環である。マイクロソフトは最近、気候技術企業CarbonCaptureおよび新興企業ClimeworksとのDACベースの契約を発表し、3月には海洋健康企業Running Tideと海洋ベースの二酸化炭素除去に関する最初の契約を締結した。直近では、マイクロソフトはデンマークのエネルギー供給会社であるØrstedと、デンマークの木屑火力発電所で発生する生物起源炭素(バイオマスの燃焼によって生じる排出物)を11年間にわたって回収・貯蔵するために、276万トンの炭素除去を購入する契約を結んだと発表した。
マイクロソフトは昨年、DAC企業の5,300万ドル(約78億円)のシリーズA資金調達ラウンドの一環として、Heirloomへの投資を発表した。
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Heirloom and Microsoft Sign One of the Largest Permanent CO2 Removal Deals To-Date