8月8日、信用格付け会社S&Pグローバル・レーティングスは、投資家向けに信用分析におけるESG要因の関連性を要約することを目的としたESGクレジット指標を、格付け企業に関する報告書に掲載しないことを発表した。
S&Pは2021年9月に英数字によるESGクレジット指標を導入し、気候変動リスクや透明性など様々なESG関連要因が信用格付け分析に与える影響を1(ポジティブ)~5(強くネガティブ)で概説していた。S&Pは当時、この指標は信用格付けに影響を与えるものではなく、信用格付けレポートにおけるESG要因が信用力に与える影響に関する定性的な洞察を補完するものであると述べていた。
S&Pは、今回の変更を発表した声明の中で、「我々の格付け分析に重要なESGクレジット要因の詳細と透明性を提供するためには、我々の格付け報告書にある専用の分析的説明パラグラフが最も効果的であると判断した」と述べ、「これらは引き続き我々の報告書に不可欠なものである」と付け加えた。
昨年、S&Pグローバルは、ミズーリ州検事総長のエリック・シュミットが立ち上げた、より広範な反ESGキャンペーンの一環として、同社のESG信用指標を含むESG評価が財務分析を政治化しているとして、米国のいくつかの州の共和党検事総長による調査を受けた。
ESG格付けプロバイダーもまた、格付けの透明性と一貫性をめぐり、ここ数カ月間、世界の規制当局から監視の目を向けられてきた。例えば、EU委員会は6月、品質と信頼性を確保するため、ESG格付けプロバイダーを欧州市場規制当局のESMAが監督する案を発表し、先月には英国のFCAがESG格付けとデータプロバイダーに対する自主的な行動規範の草案を発表した。
S&Pは、ESGクレジット指標の削除にもかかわらず、ESG原則基準や、ESG要因が信用力に与える影響などESG関連トピックに関する解説には影響しないと述べている。
【参照ページ】
(原文)S&P Global Ratings Stops Publishing ESG Credit Indicators
(日本語訳)S&Pグローバル・レーティングスがESGクレジット指標の公表を停止