9月6日、金属テクノロジー企業のボストン・メタルズは、シリーズCの資金調達が終了し、2億6,200万ドル(約385億円)を調達したと発表した。同社は1月に1億2,000万ドル(約176億円)の資金調達ラウンドの第1回クローズを発表している。
世界のメーカーがサプライチェーンの脱炭素化を目指すなか、化石燃料を使用しない鉄鋼の需要は大幅に増加すると予想されている。製鉄は世界的に最もCO2を排出する企業のひとつであり、同部門からの温室効果ガス総排出量(GHG)は、世界の化石燃料使用による直接排出量の7~9%を占めている。
2013年に設立されたボストン・メタルズは、グリーン・スチールだけでなく、スズやニオブのような高価値金属にも使用できる、電力を動力とする金属生産プラットフォームである溶融酸化物電解(MOE)を商業化している。このワンステップ・テクノロジーは、再生可能な電力を使用し、エネルギー効率に優れたプロセスで鉄鉱石の全品種を鉄鋼に転換するもので、現在は廃棄物とみなされている複雑で低濃度の材料から貴重な金属を選択的に抽出する。その結果、CO2排出量ゼロ、プロセス水、有害化学物質、貴金属触媒が不要で、従来の製造方法と比べてコスト競争力がある。同社は2022年にブラジルに子会社を設立し、MOEプラットフォームを利用して、鉱山業者が鉱山廃棄物から価値を回収するのを支援する高付加価値金属プラットフォームを構築する。
今回の資金調達後、ボストンメタルは、高付加価値金属事業の展開を加速させ、グローバルにチームを成長させ、MOEプラットフォームを商業的に実証すると述べた。同社は、2024年に最初の高価値金属を出荷し、2026年までにMOE技術を鉄鋼市場に投入する予定である。
【参照ページ】
(原文)Boston Metal Closes $262M Series C Funding Round to Decarbonize Steelmaking and Disrupt the Metals Industry
(日本語参考訳)ボストンメタル、2億6200万ドルのシリーズC資金調達ラウンドを完了 製鉄の脱炭素化と金属業界の破壊を目指す