機関投資家71団体、ファストフード12社に食肉サプライチェーンにおける責任ある抗生物質使用の実証を要請
7月12日、総資産15.2兆ドル(約2,000兆円)を代表する71の機関投資家および投資家団体が、共同エンゲージメント・プログラム「Restaurant Antibiotics Engagement」に参加した。機関投資家の食品・小売関連イニシアティブであるFarm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」が主導する新たな取り組みで、世界経済に対する100兆ドルの抗菌剤耐性の脅威の主要因に対処する。
本エンゲージメントでは、北米のファーストフード・レストラン12社を対象とする。マクドナルド、ヤム・ブランズ(KFCとピザハット)、レストラン・ブランズ・インターナショナル(バーガーキング)、スターバックス、ウェンディーズ、ドミノ・ピザ、ザ・チーズケーキ・ファクトリー、テキサス・ロードハウス、パパジョンズ、ダーデン・レストランツ、ブリンカー・インターナショナル、Bloomin’ Brandsからなる。
これらの企業は、世界中から肉、卵、魚、乳製品を調達しており、サプライチェーンにおける抗生物質使用の管理方針が不適切であることから、財政的に重大な規制リスクや風評リスクにさらされる可能性がある。
シュローダー、リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント、HESTA、フェデレイテッド・エルメスのEOS、グリーン・センチュリーなどが参加する本エンゲージメントの機関投資家は、世界保健機関(WHO)のガイドラインに沿って、畜産物のサプライチェーンにおけるAMRリスクに対処するための情報開示を企業に求める。
企業には、既存の抗生物質政策が十分に厳格であることを証明し、目標設定と監査を通じて実施の証拠を提出することが求められる。また、これまでの一般的なアプローチであった鶏肉などの一部に限定するのではなく、すべての主要タンパク質を対象とすること、使用されている抗生物質の種類と量を開示することを求めている。
第一段階として、投資家グループは企業に対し、追加情報の提供を求める文書を送付し、その後2023年12月まで企業との対話を行う。FAIRRは、2024年春に最初の正式な企業評価を発表する予定である。
本取り組みはFAIRRが主導し、世界の外食産業にAMRを訴求することに成功したこれまでの投資家グループに基づいている。2016年から2019年にかけて行われたファストフード20社とのエンゲージメントでは、20社中19社が抗生物質ポリシーを開示し、当初の1社から増加した。しかし、ここ数年、投資家からの持続的な圧力がなかったため、企業の取り組みは停滞していた。
【参照ページ】
(原文)$15.2T Investors Ask Global Fast Food Companies to Demonstrate Responsible Antibiotic Use in Meat Supply Chain
(日本語訳)機関投資家71団体、ファストフード12社に食肉サプライチェーンにおける責任ある抗生物質使用の実証を要請