イギリス、発展途上国向け新貿易スキームを導入

6月19日、英ビジネス・貿易省は、発展途上国からの輸入品に関する新たな免税スキーム「発展途上国貿易スキーム(DCTS)」を発表した。貿易ルールを抜本的に簡素化し、発展途上国からの製品に対する関税を削減することで、英国の企業と消費者を年間数百万ポンド節約する。

本スキームは、90億ポンドを超える輸入品の関税を撤廃または削減することで、英国企業に年間7億7,000万ポンド(約1,400億円)以上のコスト削減をもたらし、英国の消費者の選択肢を増やす。また、英国企業の国際貿易の機会を創出し、英国経済を成長させる。発展途上国が本スキームの下で英国との貿易を拡大すれば、企業は輸入コストを数百万ドル以上の削減も見込める。

ナイジェル・ハドルストン国際貿易大臣は、エチオピア最大の工業ビジネスパークであるボーレ・レミを訪問した際に、本スキームを発表した。すでに8億3,800万ポンド(約1,500億円)に相当する貿易関係を英国と結んでいるエチオピアは、英国に輸出される商品の100%に関税ゼロを適用している。新しいスキームの下では、エチオピアをはじめとする46カ国が、より多くの国の部品を使用して商品を生産できるようになり、英国との貿易機会が拡大する。

DCTSはアフリカの37カ国、アジア・オセアニア・中東の26カ国、南北アメリカの2カ国を対象としている。本スキームは2022年発表され、その後、発効のための法律が最終決定された。

イギリスは過去3年間で、DCTS加盟国から平均228億ポンド(約4兆円)相当の商品を輸入した。8つの経済連携協定のネットワークと合わせると、DCTSは90以上の発展途上国が無税またはほぼ無税の貿易の恩恵を受けていることを意味する。税関手続きは現行の特恵貿易協定と変わらないが、後発開発途上国のための新しい関税と原産地規則が適用される。

【参照ページ】
(原文)UK introduces new post-Brexit trading scheme for developing countries
(日本語訳)イギリス、発展途上国向け新貿易スキームを導入

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