シンガポール、企業に気候報告義務化を提案

7月6日、シンガポールの事業報告・会計・企業サービス・市場規制当局である会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール取引所規制庁(SGX RegCo)の提案によると、シンガポールの公的・民間企業は、IFRSが新たに公表したISSB開示基準に沿った気候変動関連の開示を行うことが義務付けられる。

気候関連報告の義務化計画は、シンガポール企業のサステナビリティ報告ロードマップに関する助言を行うため、昨年両規制当局が共同で立ち上げたサステナビリティ報告諮問委員会(SRAC)によって提言された。

規制当局の声明によると、気候報告義務化の提案は、シンガポールの世界的なビジネスハブとしての地位を維持すると同時に、国連の「2030持続可能な開発アジェンダ」に対するシンガポールのコミットメントを強化することを目的とした、政府の持続可能な移行戦略である「シンガポールグリーンプラン2030」に貢献するものである。

現在シンガポールでは、金融、農業、食品、林産物、エネルギーなど特定のセクターの上場企業に対してのみ、TCFDに沿った気候変動報告書の提出を義務付けており、その他のすべての上場発行体には、TCFDを「遵守するか説明するか」の基準で適用することが求められている。

新提案では、海外に設立された発行体、事業信託、REITを含む全ての上場発行体は、2025会計年度から気候関連の情報開示を義務付けられ、売上高10億ドル以上の非上場企業は2027会計年度から義務付けられる。

さらに規制当局は、2027年度に、気候変動開示の要求事項を、売上高1億ドル(約140億円)以上の非上場企業に拡大し、2030年度頃に報告を開始する計画について、検討を行う予定であると付け加えた。

委員会は、スコープ3排出量報告を実施するための追加的な時間など、複雑な開示に対する追加的な緩和を加えた上で、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB) 基準の要求事項を企業の報告に反映させることを推奨した。ISSBは今週初め、新しいサステナビリティと気候関連の報告基準の最終版を発表した。

勧告はまた、スコープ1と2の温室効果ガス(GHG)報告について、上場発行体については2027年度から、非上場大企業については2029年度から、外部保証を義務付けることを提案している。

【参照ページ】
(原文)Singapore’s Sustainability Reporting Advisory Committee Recommends Mandatory Climate Reporting for Listed and Large Non-Listed Companies
(日本語訳)シンガポール、企業に気候報告義務化を提案

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