5月10日、マイクロソフトは、クリーンエネルギーのスタートアップであるHelionが2028年までに建設予定の世界初の核融合発電所からエネルギーを調達することに合意したと発表した。
Helionの共同設立者兼CEOであるDavid Kirtleyによると、この契約は同社にとって、また多くの業界関係者が世界の脱炭素化目標に重要な貢献をすると考えているが、商業化に向けて前進する初期段階に過ぎない核融合発電全体にとっても重要な節目となる。
核融合は、2つの原子を組み合わせて1つの原子を作り、エネルギーを放出するプロセスであり、化石燃料ベースの発電に伴うCO2の排出や、核分裂プロセスによる高い放射性物質の排出なしに、宇宙で最もありふれた元素である水素から発電できることから、クリーンで豊かなエネルギー生産の「聖杯」と長い間呼ばれてきた。しかし、核融合発電は、非常に高い温度と圧力が必要であるため、大規模な発電には至っていない。
2013年に設立されたHelionの核融合発電へのアプローチには、核融合の物理的課題のいくつかを克服するためのパルス非着火核融合システムの使用、燃料として重水素とヘリウム3を使用するなどの技術が含まれている。ヘリウム3の特性は、より小型で効率的なシステムを可能にするが、本元素は歴史的に製造が非常に困難であった。Helionは、プラズマ加速器で重水素を融合させる特許取得済みのプロセスにより、ヘリウム3を製造することができる。
Helionは現在、7番目の核融合プロトタイプの開発に取り組んでおり、2024年には発電能力を実証する予定である。2028年にオープン予定の最初のプラントは、ロールアウトの1年後に少なくとも50MWの電力を生成することが期待されている。
マイクロソフトは、2030年までにカーボン・マイナス・ステータスを達成するという目標や、電力消費の100%、100%の時間をゼロ・カーボン・エネルギーからの購入でまかなうという「100/100/0」ビジョンなど、自社の気候目標を達成するための新たな道を提供することになる。
【参考ページ】
(原文)Helion announces world’s first fusion energy purchase agreement with Microsoft
(日本語訳)Helion、マイクロソフトと世界初の核融合エネルギー購入契約を締結と発表