6月27日、世界経済フォーラム(WEF)は、天津で開催された第14回ニュー・チャンピオン年次総会で、中国がカーボンニュートラルという目標を達成するための鍵となるグリーン水素市場を開発するためのロードマップをまとめた新しい報告書を発表した。
中国は世界最大の水素生産国であり消費国でもある。しかし、ここ数年グリーン水素への注目が高まっているにもかかわらず、コスト、インフラ、需要といった課題が、中国のエネルギー転換に大きく貢献することを妨げている。その結果、グリーン水素が中国の水素生産・消費に占める割合は、2021年時点で0.1%未満と、ごくわずかなものにとどまっている。
アクセンチュアとチャイナ・ハイドロジェン・アライアンスの協力による本報告書は、中国のグリーン水素産業が直面する課題を概説している。コスト、インフラ、市場需要、業界標準と認証、技術、進化と協力に関連する6つの主要な障壁と目標を特定している。これらの課題を克服するために、現在から2030年まで3段階に分けて実施される35の実現策を提案している。
中国政府は、この10年の終わりを炭素排出量をピークアウトさせる期限と定め、2030年を複数の産業における徹底的な脱炭素化のスタートの年と位置づけている。これにより、大規模なグリーン水素開発の新たな段階が始まることになる。政府の水素エネルギー産業発展中長期計画(2021-2035)は、中国の広範な国家発展政策の中で、エネルギー源としての水素の戦略的重要性を初めて定義した。
強力な政策ガイダンスとインセンティブがあれば、中国にはグリーン水素技術を商業化し、産業システムと経済全体を変革する可能性がある、と報告書は主張している。この新技術を必要な規模で実現するために、中国は産業、地域、そして世界的な協力を通じて、この分野の発展に注力する必要がある。
【参照ページ】
(原文)World Economic Forum Report Outlines Roadmap to Fast-Track China’s Green Hydrogen Industry
(日本語訳)世界経済フォーラム報告書、中国のグリーン水素産業を急成長させるロードマップを示す