デロイト:世界の気候目標を達成するためのグリーン水素への投資を1,200兆円以上と予測

デロイト:世界の気候目標を達成するためのクリーン水素への投資を1,200兆円以上と予測

6月13日、プロフェッショナルサービス企業デロイトが発表した新しいレポートによると、グリーン水素の生産を世界の脱炭素化と気候目標をサポートするために必要なレベルまで拡大するには、2050年までに9兆ドル(約1,268兆円)以上の投資が必要となり、今後数十年にわたって複数の地域とセクターで大きな投資機会が生まれるという。

今回発表された報告書「グリーン水素: ネット・ゼロへの道を切り開く」では、今後数十年にわたる低炭素クリーン水素経済の発展による投資、市場成長、脱炭素化の機会を調査し、2050年までに1.4兆ドル(約197兆円)の収益と最大85ギガトン(GT)の累積炭素排出量削減を想定している。

報告書によると、水素は、地球温暖化を1.5℃に抑えるために必要な化石燃料から低炭素エネルギー源への世界的なエネルギー転換において、将来のエネルギー需要の15%から30%を満たすという大きな役割を果たす。現在、クリーンエネルギー開発の大部分は、太陽光や風力などの自然エネルギーによる電化に集中しているが、水素は、重工業や輸送など、電化ソリューションに適さない活動にも対応できる。さらに、水素は、太陽光や風力を利用した電力システムに柔軟性と安定性を加えるために使用することも可能である。

世界の水素生産能力は現在約9,400万トンであるが、その大部分は天然ガスの改質や石炭のガス化によって生産されている。これらは非常に炭素集約的で、年間1GT以上のCO2を排出している。クリーン水素の生産能力を向上させるには、インフラ、電解、輸送などの分野で大規模な投資が必要となる。デロイトの報告書では、2050年のクリーン水素の生産能力は、再生可能エネルギーを利用した電気分解プロセスで水から水素を取り出すグリーン水素を中心に、天然ガスを水素とCO2に変換し、それを回収して永久に貯蔵するブルー水素が移行技術として、2050年の生産量の15%程度を占めると予測している。

本報告書では、クリーン水素市場は2030年に1億7,200万トンまで拡大し、2050年には6億トン近くまで拡大すると想定。初期の需要は、肥料製造など、すでに工業用水素を使用している分野に集中すると予想され、長期的な需要は、鉄鋼、化学、セメントなどの重工業が42%、航空、船舶、大型道路輸送などの輸送が36%を占めると予想されている。

これらの生産レベルに到達するために、2050年までに必要な投資額は9.4兆ドル(約1,324兆円)に達すると予測している。本報告書では、主にグリーン水素製造に焦点を当てた主要な投資分野について、太陽光発電(3.1兆ドル)と風力発電(1.5兆ドル)の導入に4.6兆ドル(約648兆円)、電解槽に2.6兆ドル(約366兆円)と詳細に述べた。約1.7兆ドル(約239兆円)が変換・輸送資産に投資され、パイプライン輸送に1兆ドル(約149兆円)、変換・再変換装置に5,000億ドル(約70兆円)、海上インフラの建設に1,000億ドル(約14兆円)となっている。また、予測期間の前半に集中するブルー水素への設備投資額は約6,000億ドル(約84兆円)を想定している。

【参照ページ】
(原文)New Deloitte report: Emerging green hydrogen market set to help reshape global energy map by end of decade, creating US$1.4 trillion market by 2050
(日本語参考訳)デロイト:世界の気候目標を達成するためのクリーン水素への投資を1,200兆円以上と予測

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