ボーイング、クリーンテック企業Equaticと炭素除去に関する契約を締結

ボーイング、クリーンテック企業Equaticと炭素除去に関する契約を締結

5月31日、クリーンテック新興企業のEquaticは、航空宇宙大手のボーイングと、Equaticの海洋を利用した直接空気捕捉技術による6万トン以上のCO2除去の事前購入と、2千トン以上のカーボン・マイナス水素の購入について合意した。

Equaticは、UCLA サムエリ工学部炭素管理研究所から独立し、海洋が大気中のCO2を吸収・固定する自然のプロセスを増幅するCO2除去プロセスを開発し、そのプロセスからクリーンエネルギーを生成するカーボンマイナス水素を製造している。

Equaticのプロセスは、海水に電流を流す電気分解を利用し、処理した海水に大気中の空気を通すことで、CO2を溶存重炭酸イオンと海に元来存在する固体鉱物の形で捕捉し、10万年以上安定的に保つことができる。

同プロセスでは、水素ガスが生成される。この水素ガスは、プロセスの動力源として使用できるほか、持続可能な航空燃料(SAF)やトラック輸送などの用途で、カーボンネガティブな燃料源として販売できる。

Equaticによると、本プロセスは、CO2を回収するとともにカーボンニュートラルな水素を製造することで、従来の排出量と将来の排出量の両方に対応する。

Equaticは、2026年までに年間10万トンの炭素除去を達成し、2028年までに100万トンに拡大する予定。コストは1トン当たり100ドル未満であると述べている。

今回の購入前契約により、Equaticは62,000トンのCO2を除去し、2,100トンの水素をボーイングに納入することになる。

2022年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、CO2の除去量は今後数十年にわたって年間数十億トンに拡大される。しかし、同報告書では、二酸化炭素を回収・貯蔵する既存のソリューションは複数存在するものの、そのほとんどが初期段階であり、現状では規模が限定的であることも指摘している。

今回の発表は、マイクロソフトやJPモルガン、炭素除去の買い手連合であるフロンティアによって発表された取引を含む、今後の炭素除去契約の最新版となるものである。

【参照ページ】
(原文)Equatic Launches Low-Cost, Gigaton-Scale Technology to Decarbonize at Unprecedented Speed
(日本語参考訳)ボーイング、クリーンテック企業Equaticと炭素除去に関する契約を締結

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る