5月23日、JPモルガン・チェースは、80万トンの二酸化炭素を大気中から除去・貯蔵することを目的とした一連の取引を発表した。その価値は2億ドル(約278億円)を超え、これまでで最大規模の二酸化炭素除去(CDR)購入となった。本契約により、JPモルガンは、2030年までに、業務上の直接排出量に匹敵する量の二酸化炭素を除去できる見込みである。
昨年発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、二酸化炭素の除去方法が今後数十年にわたって年間数十億トンの除去量に拡大される。
しかし、同報告書では、二酸化炭素を回収・貯蔵する既存のソリューションは複数存在するものの、そのほとんどが初期段階のものであり、現状では規模が限定的であると指摘してい。JPるモルガンは、自らの排出量の抑制に取り組むだけでなく、新協定でCDR技術の開発を加速させ、炭素除去プロジェクトの規模拡大を支援することを目指すと述べた。
JPモルガンが発表した契約には、Climeworksからの直接空気捕捉(DAC)業界における過去最大規模の購入が含まれている。その金額は2,000万ドル(約27億円)以上、9年間で25,000メートルトンの炭素を大気から除去することを目的としている。DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気から直接CO2を抽出して原料として使用したり、貯蔵と組み合わせることで永久的に除去する。
また、JPモルガンは、バイオマス炭素除去・貯蔵(BiCRS)の新興企業であるCO280 Solutionsと、15年間で最大45万トンのCO2を除去する契約を、Charm Industrialと5年間で約2万8,500トンの除去・貯蔵する契約を締結したと発表した。
さらに、JPモルガンは、炭素除去技術の開発加速を目的とした先行市場コミットメント連合であるFrontierに対して、7,500万ドル(約104億円)のコミットメントを行うことも発表した。本契約には、JPモルガン自身の業務用排出ガスに対する5,000万ドル(約69億円)の購入と、顧客に2,500万ドル(約34億円)のCDRを利用できるようにすることが含まれている。
【参照ページ】
(原文)JPMorgan Chase seeks to scale investment in emerging carbon removal technologies, announces agreements intended to durably remove and store 800,000 tons of carbon
(日本語参考訳)JPモルガン、過去最大規模の炭素除去装置の購入を発表