米国の政治的圧力により、17の保険会社がネット・ゼロ保険アライアンスから離脱

5月30日、Lloyds、AXA、損保、Allianz、Scorなどの大手保険会社は、ネット・ゼロ保険アライアンス(NZIA)への加盟を中止すると発表した。本発表は、保険会社が保険引受やリスク管理を通じて温室効果ガス(GHG)排出量ゼロへの移行の加速を目的とする国連環境計画(UNEP)の支援する提携に大きな逆風を吹かせるものである。

本発表は、米国の共和党政治家が、保険会社や資産家を含む金融機関が気候変動に焦点を当てた提携に参加することによる法的違反の可能性を警告し、圧力を強めている中で行われた。

NZIAは、2021年にAXA、Allianz、Scorなどの保険・再保険会社8社が創設メンバーとして発足し、2023年初頭までに世界の保険料総額の約15%を占める約30社のメンバーに成長した。署名企業には、引受基準やガイドライン、顧客とのエンゲージメント、低排出ガス・ゼロエミッション技術や自然ベースのソリューションに関する保険ソリューションの開発などの分野を通じて、2050年までに保険・再保険引受ポートフォリオをGHG排出量ネット・ゼロに移行させることが約束された。

本発表は、米国23州の検事総長がNZIAのメンバーに対して送った書簡の発表に続くもので、「活動的な気候変動政策を推進するために他の保険会社や資産家と協力するという約束の合法性を懸念している」と警告し、具体的にはグループの協調行動による反トラスト違反の可能性や、保険提供拒否の理由を限定する州法などを挙げている。

【参照ページ】
(原文)Insurers’ climate alliance loses nearly half its members after more quit
(日本語訳)米国の政治的圧力により、17の保険会社がネット・ゼロ保険同盟から離脱

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-9-5

    パナソニック、EV普及時代に向けたエネルギーマネジメント実証実験を開始

    8月22日、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下「パナソニック」)は、大阪ガスマーケ…
  2. 2024-9-5

    SBTi、建築セクター向けに1.5℃シナリオに整合する脱炭素化フレームワークを発表

    8月28日、SBTi(Science Based Targets initiative)は、建築セ…
  3. 2024-9-2

    企業が持続可能性を推進するためのデータとAIの役割が浮き彫りに

    8月28日、キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートが発表した最新レポート「Data-Pow…
ページ上部へ戻る