WBCSD、企業の気候変動対策を加速させる一元化したプラットフォームを提供

4月27日、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、バリューチェーンに沿って気候変動対策の進捗を加速させることを目的としたデジタルプラットフォーム「The Climate Drive」の提供を開始した。

40社以上のグローバル企業や学術パートナーであるオックスフォード・ネット・ゼロ(オックスフォード大学)と緊密に協力して開発された本プラットフォームは、現在ベータ版として提供されており、2024年までに最初の完全機能版をリリースする予定である。

The Climate Driveの目的は、企業のネット・ゼロに関する最新の知識へのアクセスを一元化・簡素化し、信頼性が高く実行可能な業界固有の脱炭素ガイダンスにリンクすることで、あらゆるセクターの企業が排出削減目標を実行できるよう支援すること。成功すれば、2030年には少なくとも5万社がこのプラットフォームで学び、行動し、協力し、世界の排出量の約30%をカバーできる。

特に、企業が脱炭素化計画を実行する上で直面する3つの課題を取り上げる。

1.脱炭素化には、企業内だけでなくバリューチェーン全体で大量のスキルアップを図る必要がある。特に、企業によっては10,000社を超えるサプライヤーを活性化し、トレーニングする必要がある。
2.ネット・ゼロの説明責任については、世界には30以上の自主的な取り組みや基準があり、サステナビリティの専門家であってもますます難しい状況になっている。このような状況を切り抜けるには、時間がかかり、資源が必要である。
3.大規模かつ低コストで利用できる、業界特有の高品質なガイダンスが不足している。

これらの課題を解決するために、本プラットフォームは4つの主要コンポーネントを備えており、そのうち3つはすでにパイロット版として提供されている。

  • オックスフォード・ネット・ゼロとオックスフォード大学Smith School of Enterprise and the Environment(スミス企業環境スクール)の研究者が開発した「Net Zero Readiness Check」。企業が30以上のネット・ゼロのイニシアティブや基準から共通して期待されることに沿って組織の準備状況を自己評価し、それらに合わせるための重要な次のステップを特定するための指針となる
  • ネット・ゼロへの道のりをデザインし、実行する方法を詳述した「ガイドブック」
  • 脱炭素ソリューションの集大成であり、実行の手引きとなる「アクション・ライブラリー」
  • 安全な空間で知識の相互交換やイベントを開催する「コラボレーション・ハブ」(後日開発予定)

【参照ページ】
(原文)The Climate Drive: First one-stop and open digital platform to accelerate climate action, built by businesses for businesses
(日本語参考訳)WBCSD、企業の気候変動対策を加速させる一元化したプラットフォームを提供

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-3

    英・豪銀行連合、中小企業のスコープ3把握支援で新会社 50兆ドル市場開拓へ

    6月24日、英ナットウエスト・グループ、豪州ナショナル銀行(NAB)、英スタンダードチャータード傘…
  2. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  3. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る