1月18日、米共和党の21州の検事総長は、委任状作成会社であるInstitutional Shareholder Services (ISS) とGlass Lewisに対し、企業の気候変動やDEI関連の問題を支持していることを問題視した書簡を送った。書簡では、これらの分野を株主に推奨することは、顧客の経済的利益を考慮する義務違反になると警告した。
本書簡は、米国の共和党政治家による反ESGの継続的な推進における最新の動きであり、主に大口投資家を対象としているが、当局者は法律事務所に対して、ESGイニシアティブに関する顧客へのアドバイスに対しても警告している。
本書簡の署名者の一人であるカンザス州のKris Kobach州知事は、弁護士事務所に対する異議申し立てを発表する声明の中で、弁護士事務所の「ESG主導の政策」が同州の労働者の年金を脅かすと主張した。
また、委任会社に対する書簡の中で、委任会社の最近のESG関連のコミットメントが、顧客に対する法的義務を果たすことを妨げる可能性があると述べ、委任会社が違反を止め、法律に従うことを約束するよう求めている。
本書簡は、特に気候や多様性、公平性、包括性(DEI)に関するISSとGlass Lewisの提言に焦点をあてている。気候問題に関しては、各社とも「企業が “ネット・ゼロ・エミッション “目標や関連する気候変動への取り組みを実施しているかどうかに基づいて、企業の取締役や提案に対する投票を推奨することを約束した」とし、これは「社会目標」に基づく非財務的配慮を財務的配慮より優先することになり、グローバルなネット・ゼロ目標の成功確率が急速に低下しているというIEAの主張に基づいて、ゼロ以外の目標を追求することは価値の最大化と相容れないと主張している。
また、弁護士団は、気候変動に焦点を当てた投資家団体「Climate Action 100+」との連携や、「Net Zero Asset Managers」イニシアティブに所属する投資家との議論についても説明するよう求めている。
また、人種や民族、性別の多様性が十分でない取締役会に対して取締役を推薦しないこと、ISSの方針が「州法に明らかに違反する人種データの収集を保険会社に強いる提案」の支持につながっていることなど、DEIに関する各社の方針についても質問している。
書簡では、1月31日までに回答するよう各社に求めている。
【参考ページ】
(原文)Republican state officials question proxy advisers ISS, Glass Lewis over ESG
(日本語参考訳)米共和党政治家、ESGをめぐりISSとGlass Lewisに警告