1月17日、米国連邦準備理事会(FRB)は、米国の大手銀行6行を対象とした気候シナリオ分析演習の詳細と指示を発表した。本演習の目的は、銀行の気候関連リスク管理の実践と、様々な気候変動に対する銀行の回復力の評価であり、本演習の結果は、7月末までに各銀行から提出される予定である。
気候変動シナリオ演習に参加する銀行は、Bank of America、Citigroup、Goldman Sachs、JPMorgan Chase、Morgan Stanley、Wells Fargoの6行である。
銀行は、2つの気候変動シナリオが融資ポートフォリオの特定の分野に及ぼす影響を調査する。シナリオは、金融システムのグリーン化のための中央銀行・監督者ネットワーク(NGFS)が提供するものに基づいており、現在の政策に基づくものと、温室効果ガスの排出をネット・ゼロにした場合の2種類がある。
本演習は、物理的リスクと移行リスクという主要な気候リスク分野を探求する、2つの独立したモジュールで構成されている。物理的リスクモジュールでは、ハリケーン・山火事・洪水などの気候に関連する急性イベントや、気温上昇・海面上昇などの慢性イベントからなる将来起こりうる人的・物的被害による衝撃が、銀行の不動産ポートフォリオに与える影響を検証する。移行リスクモジュールでは、政策、消費者・企業マインド、技術の変化など、低炭素経済への移行が企業ローンや商業用不動産ポートフォリオに与える影響を評価する。
英国やEUを含む世界の中央銀行が,気候関連リスクに対する銀行や金融システムの耐性を評価するためにストレステストの利用を増やしている中で、FRBの演習は行われた。しかしFRB は、今回の演習は「銀行のストレステストとは異なる、別のもの」であり、資本への影響はないと述べた。
【参照ページ】
(原文)Federal Reserve Board provides additional details on how its pilot climate scenario analysis exercise will be conducted and the information on risk management practices that will be gathered over the course of the exercise
(日本語参考訳)FRB、大手銀行を対象とした気候変動リスク演習を開始