英国、廃棄物をSAFに転換するプロジェクトに約127億円を投資

英国、廃棄物を持続可能なジェット燃料に転換するプロジェクトに約127億円を超える資金を提供

12月22日、英国運輸省は、家庭ごみ、商業ごみ、産業廃棄物ガスなどを原料として持続可能な航空燃料(SAF)を製造することを目的とした一連のプロジェクトに、8000万ポンド(約127億円)以上を投資したと発表した。

また、炭素回収・転換(CCT)企業のLanzaTechには、製鉄所のオフガスをエタノールに転換し、アルコールからジェット燃料を製造するサウスウェールズの商業規模のプラント、DRAGONに対して2500万ポンド(約39.9億円)が授与された。VelocsyとLanzaTechのプロジェクトは、2028年と2026年に稼働し、フル稼働時にはそれぞれ37kt/yと79kt/yのSAFを生産する見込みである。

本投資は、英国におけるSAF製造プラントの開発を支援することを目的とした、英国の1億6500万ポンド(約263億円)の先進燃料ファンドから行われた。本ファンドは、2050年までに航空機の運航を完全にゼロにするという英国の「ジェット・ゼロ」戦略とともに、今年発足したものである。同戦略は、2050年までに航空機からの排出量を60%以上削減することを目指しており、2019年を航空機からの排出量のピークと想定している。

【関連記事】英国、2040年までの国内航空・空港のネット・ゼロにコミット

発表されたファンドからの追加助成には、ティースサイドの産業クラスターに年産87トンのSAFプラントを建設するalfanar Energyへの1100万ポンド(約17.5億円)(2028年稼働予定)、チェシャー州エレスメアポートに年産83.7トンのプラントを建設するFulcrum BioEnergyへの1680万ポンド(約26.8億円)(2027年稼働予定)と、二酸化炭素のSAF化実証プラントであるVelocysへの250万ポンド(約3.9億円)(同)も含まれている。

運輸省によると、この5つのプロジェクトで年間30万トン以上のSAFが生産され、年間平均20万トンの排出量が削減される見込みである。

【参照ページ】
(原文)Lift off for projects fuelling jet liners with bin liners
(日本語参考訳)ジェット旅客機の燃料をゴミ箱で賄うプロジェクトが始動

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-18

    オーストラリア裁判所、グリーンウォッシュ訴訟でバンガードに有罪判決

    3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のE…
  2. 上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    2024-4-15

    上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    4月に発表した、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIの新しいレポートによると、世界の上場…
  3. SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    2024-4-15

    SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    4月9日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)は、企業の環境持続可能な行動を気候変…

アーカイブ

ページ上部へ戻る