12月14日、世界的な銀行・金融サービス企業であるHSBCは、新しいエネルギー政策を発表した。新政策では、今後、新規の石油・ガスプロジェクトや冶金用石炭鉱山への融資を行わず、融資を継続して受けるためには、エネルギー部門の顧客に対して気候目標に沿った移行計画の提供を求めるとしている。
新しい方針は、今年初めに石油・ガスおよび電力・公益事業部門に対する融資による排出削減目標を導入したことや、2021年12月から石炭火力発電および一般炭鉱への融資を段階的に廃止するという公約など、HSBCが最近発表した気候関連融資を基礎としている。2022年3月、HSBCは化石燃料への融資を段階的に縮小し、顧客に移行計画の提供を義務付けるとともに、融資・投資方針を見直し、更新することを約束した。
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新しい方針を発表した声明の中で、HSBCは、温室効果ガス排出量の削減、長期的な耐性を構築する秩序ある移行の実現、公正かつ安価な移行への支援など、本方針の主要な目的を概説した。
本方針により、同行は新規の石油・ガスプロジェクトおよび関連インフラへの融資を終了する一方で、法人レベルのエネルギー分野の顧客に対しては、HSBCの2030年の融資対象排出量および2050年のネット・ゼロ目標に合致した移行計画を提供すれば、引き続き融資とアドバイザリーサービスを提供する。
新しい方針の下、HSBC は、移行計画に関与し、関連する技術やインフラへの資金調達を支援するなど、移行に積極的な役割を果たす顧客を支援すると述べている。また、再生可能エネルギーとクリーンなインフラストラクチャーにおける活動を加速させることも約束した。
責任投資NGOであるShareActionは、昨年、HSBCの気候変動対策への取り組みを強化するキャンペーンを主導し、過去数ヶ月間、新しい方針に関してHSBCと協力してきた。同NGOは今回の発表を賞賛するとともに、HSBCにさらなる行動をとるよう求めている。ShareActionの銀行プログラム責任者であるジャンヌ・マーティンは、本発表に対し「ネット・ゼロに取り組むすべての銀行にとって、新たな目標の最低レベルを設定するものです」と述べ、BarclaysやBNPパリバなど他の銀行もこれに続くよう促した。
【参照ページ】
(原文)HSBC to stop funding new oil and gas fields as part of policy overhaul
(日本語参考訳)HSBC、新規の石油・ガスプロジェクト向け融資を終了