12月12日、オーストラリア政府は、企業や金融機関を対象とした気候変動リスク開示の枠組みの構築に関するコンサルテーション・ペーパーを開始し、大企業には報告ルールを義務付ける予定であることを発表した。
このコンサルテーションでは、早ければ2024年から「段階的」なアプローチで規則を導入することが検討されている。
財務省が発表した協議の序文では、物理的・移行的な気候関連リスクを「世界の金融リスクに対する重要なリスク」と認識し、そのリスクを管理する上で情報開示が重要な手段を形成していると述べている。また、投資家による気候関連開示の需要は、ここ数年着実に高まっており、英国、米国、EUなどいくつかの国では、企業に対する報告義務付けを導入または開発していることを指摘している。
コンサルテーションペーパーでは、気候変動開示規則の導入に際して、大企業からの段階的導入、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の勧告との整合性、保証要件、重要性評価、移行計画の開示などの国際慣行に沿ったコストと利点、及び新しい要件を満たすためのデータの課題などの主要な質問が検討されている。
また、この協議では、温室効果ガス排出量の報告に適用される考慮事項について、特にスコープ3(企業が直接管理できない上流と下流の排出量)に焦点を当て、企業にとってはサプライチェーンや製品使用による排出、金融機関にとっては融資による排出を含む可能性があるとして、意見を求めている。スコープ3は、多くの企業の排出量フットプリントの大部分を占めるが、一般的に追跡や測定が最も困難である。スコープ3排出量に関する報告要件は、新興の開示制度 の中で最も議論を呼ぶものの一つであるが、ISSBの もの、EUや米国SECの規則案など、多くの新興制度に 含まれつつある。
オーストラリアの協議では、”Scope3排出量の開示のためのいくつかの要求事項が適用される “ことが提案されている。
政府はまた、透明性の向上、グリーンファイナンス市場の発展、”持続可能な金融における世界的な機運の高まりがもたらす機会 “への対応を目的とし、気候リスク開示を戦略の一部とする包括的な持続可能な金融戦略を策定するよう財務省に命じたことを明らかにした。
【参考ページ】
(原文)Government begins consulting on new climate reporting framework
(日本語参考訳)政府は新たな気候変動報告枠組みに関する協議を開始