12月12日、欧州中央銀行(ECB)は、2023年から2025年にかけての監督上の優先順位を発表し、「気候変動への取り組みの強化」を銀行監督上の重点分野のひとつに設定した。
ECBは、銀行を効果的かつ一貫して監督し、銀行への期待を明確にするため、銀行が直面する主な脆弱性とリスクの判断に基づき、今後3年間の重点的な監督を決定するために、毎年監督上の優先事項を定めている。最優先課題は、気候変動への注力の強化に加え、当面のマクロ金融・地政学的ショックに対する銀行の耐性を強化すること、銀行がデジタル化に効果的に対処し、経営組織の舵取り能力を強化することなどが挙げられた。
ECBは7月に気候変動ストレステストの結果を発表し、銀行は気候変動リスクをリスク管理枠組みに組み込むことを早急に進める必要があり、銀行は依然として排出集約型産業へのエクスポージャーが大きいことを指摘した。
またECBは先月、銀行の気候リスク関連戦略とガバナンスおよびリスク管理の枠組みに関するテーマ別レビューを発表し、多くの銀行が基本的な慣行を導入しているものの、大半は気候・環境リスクに関する高度な方法論と詳細な情報を備えておらず、ほぼすべての銀行がこれらのリスクの幅と大きさを特定する上で盲点となっているとの調査結果を発表している。
ECBがウェブサイトで公開している2023年~2025年の優先事項に関する議論の中で、ECBは銀行が気候変動の課題と機会に対処する必要性を「緊急性を増している」とし、気候変動リスクをもはや長期的あるいは新興のものとは考えていないとしている。
ECBはまた、気候変動リスクの優先事項の一環として、気候変動ストレステストとテーマ別レビューから特定された欠点をフォローアップするためのターゲット深堀り、銀行の気候変動リスク開示要件の遵守状況のレビュー、銀行の気候・環境戦略やリスクに関連した風評リスクや訴訟リスクの深堀り、銀行の移行計画能力と今後の規制義務におけるESG対応力をレビューする準備作業、気候関連側面に関するオンサイト検査(OSIs)などの一連の計画的活動を発表している。
【参照ページ】
(原文)ECB Banking Supervision: SSM supervisory priorities for …
(日本語参考訳)ECB、銀行における気候変動リスクへの対応を最優先事項として強化へ