11月28日、香港証券取引所は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークと国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の新しい気候基準に沿って気候関連情報開示をさらに強化しようとしており、香港証券取引所の上場企業に対し、将来の気候報告要件を満たすために必要なインフラやシステムの計画・構築を開始するよう推奨した。
本勧告は、2020年に制定された要件に基づき、同取引所が発表したESG開示に関するレビューの一部として行われ、取締役会のガバナンスとESG課題の監督、および気候関連リスクの管理に焦点が当てられた。香港取引所は400社の発行体のESG報告書をサンプリングしている。
同取引所によると、取締役会がESGに必要な配慮をしていることが確認され、良好な進捗が見られたという。85%の発行者が、重大な気候変動リスクとその軽減策の検討、一定の環境目標の設定、スコープ1とスコープ2のGHG排出量の報告など、気候関連の新しい要件すべてについて詳細を開示することを選択したことが報告されている。また、審査した発行体の約3分の1がスコープ3排出量の報告を開始し、約5%が気候変動に対応したシナリオ分析を気候変動への耐性を評価するために採用していることがわかった。
同取引所は現在、ESGフレームワークの見直しを行っており、発行体における気候情報開示の充実に重点を置いている。TCFDの勧告とISSBの基準に合わせることで、現在の取引所規則よりも報告要件が大幅に増加し、気候計画、スコープ3のバリューチェーン排出量、気候シナリオ分析のパフォーマンスに関する報告などがフレームワークの下で要求されることになる。
同取引所は、”市場の準備状況や発行者が直面する課題 “を考慮するとしている。また、発行者がTCFDに沿った気候変動報告を準備するのを支援するために、気候開示に関するガイダンスなど、様々なガイダンスや研修資料を発行している。
レビューからの追加提言として、発行体のESGレポートがサプライチェーンのリスクマネジメントやグリーン調達の実践に関する情報を提供すること、ESGレポートと年次報告書が同時に発行されることを確認した。また、同取引所は、ESG目標に対する進捗状況のモニタリングは、取締役会が対策の有効性を評価する上で重要であり、取締役会の進捗レビューに関する情報及びレビュー結果の開示は、ESG規則で義務付けられていることを追加した。
【参照ページ】
(参考記事)Hong Kong-listed firms ‘strongly’ advised to prepare for ISSB climate-disclosure demands, bourse operator says