ユナイテッド航空、米スタートアップ「トゥエルブ」へ出資―CO₂と水から航空燃料を製造、脱炭素化目指す

5月7日、米ユナイテッド航空は6日、CO₂(二酸化炭素)と水から再生可能エネルギーを利用して持続可能な航空燃料(SAF)を製造する米スタートアップ「Twelve(トゥエルブ)」への投資を発表した。トゥエルブは、この画期的な技術で欧州の大手航空グループと14年契約、計2億6千万ガロンのSAF供給契約も締結しており、今後の事業拡大に大きな期待が寄せられている。

ユナイテッド航空は、総額2億ドル以上を集めた「Sustainable Flight Fund(サステナブル・フライト・ファンド)」を通じて、トゥエルブの最初の商用生産拠点「AirPlant™ One」プロジェクトにも参画。ワシントン州モーゼスレイクの同施設は今年中にも稼働を開始し、年5万ガロンのSAF生産を見込んでいる。

トゥエルブの技術は、再生可能な電力で空気中の炭素と水を合成し、従来のジェット燃料と比べ最大90%のライフサイクルCO₂排出削減が可能な代替燃料を生産できる点が特徴。これにより、航空業界の厳しい脱炭素化要請に応えると同時に、SAFの供給拡大と価格低減を後押しする構えだ。

ユナイテッド航空のリスク投資部門責任者、アンドリュー・チャン氏は「SAF業界の拡大こそ、航空分野の脱炭素化と低炭素燃料の価格引下げの最大の課題。トゥエルブは潤沢な資金調達と契約獲得で他社に一歩リードしている」と評価。トゥエルブの共同創業者兼CEO、ニコラス・フランダース氏も「ユナイテッドの支援により、革新フェーズから事業実装への勢いが加速する」とコメントした。

サステナブル・フライト・ファンドには、この他にもエア・カナダやボーイング、Google、三菱商事系のエアキャッスルなど世界的企業が多数出資している。今後も航空業界のカーボンニュートラル実現に向け、先進技術への投資を継続していく方針だ。

(原文)Air to Jet Fuel: United Announces Investment in Power-to-Liquid Fuels Company Twelve
(日本語参考訳)空気からジェット燃料へ:ユナイテッド航空、電力から液体燃料への投資を発表

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