9月28日、欧州委員会は、欧州連合のアスベストの職業暴露制限値を、8時間時間加重平均で1立方センチメートルあたり0.1繊維から0.01f/cm3へと一桁下げることを提案した。現在のOELは2003年に採択された。EUでは2005年からすべてのアスベストが禁止されているが、欧州グリーン・ディールの一環として今後数年間に改修されるであろう古い建物の多くには、まだこの物質が存在している。
提案によると、EU域内でアスベストに暴露されている労働者の数は410万人から730万人にのぼる。その大半(97%)は、建設業およびその関連職種で働いている。これらの労働者は、改築、メンテナンス、修理、解体作業中にアスベストを含む材料を取り扱うことで暴露される。その他、廃棄物処理、採掘、消防、トンネル掘削・保守などでも暴露されている。
デンマーク、オランダ、フランスは以前、現在のEU OELである0.1 f/cm3より低いOELを採用していた。第4のEU加盟国であるドイツでは、OELは0.1f/cm3であるが、強制的なガイドラインにより、実際の暴露濃度は0.01f/cm3未満になると考えられている。
欧州委員会によると、Asbestos at Work Directive(AWD)と呼ばれるアスベストの職業暴露に関する現行規制を維持した場合、今後40年間で推定884件のがん患者と707件の死者が発生する一方、改正案を採用した場合は推定663件のがん患者が防止されるという。
本提案では、アスベストの実験室での測定方法として位相差顕微鏡(PCM)を維持しつつ、可能な限り電子顕微鏡の使用を奨励するとしている。
【参照ページ】
(原文)Commission acts to better protect people from asbestos and ensure an asbestos-free future